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日薬理誌第134巻第6号 2009年12月

目次 ハイライト top
アゴラ
次世代を育てるということ
岡 淳一郎  … 297

総 説
ガバペンチンの上位中枢を介する神経因性疼痛緩解作用
田辺光男、高須景子、小野秀樹 … 299

うつ病と副腎皮質ステロイドホルモン受容体
吾郷由希夫、田熊一敞、松田敏夫… 304

網膜疾患治療の現状とアミロイドβの関与
嶋澤雅光、原 英彰    … 309

実験技術
ヒト組織バンクから供給される手術摘出組織の研究利用
吉田東歩    … 315

幹細胞由来心筋細胞を用いた創薬研究における心毒性試験
淺井康行   … 320

新規ラット前立腺肥大モデル:ラット間質肥大モデル    
森 文隆、阿部正章   … 325

創薬シリーズ(4)化合物を医薬品にするために必要な薬物動態試験(その3)代謝⑥⑦⑧
創薬における薬物によるCYP誘導評価
太田之弘   … 330

第II相代謝の評価と創薬
横井 毅    … 334

反応性代謝物とその評価
大江知之 … 338


キーワード解説
プロスタグランジンD合成酵素
藤森 功 ・・・342

VEGF受容体
鈴木立紀 ・・・344

最近の話題
受容体結合タンパク質によるエンドセリン受容体の発現レベル調節
西本 新、三輪聡一 ・・・346

内耳有毛細胞の機械-電気変換チャネルの局在と構成分子
日比野 浩 ・・・347

リレーエッセイ
Life is tough
及川弘崇 ・・・348

 

追悼文
295頁 渡邉 稔先生のご逝去を悼む
                   今泉祐治
お知らせ
41A 優秀論文賞選考案内
41A 次号予告、募集
42A 集会案内、安全性情報No.262
43A Calendar
44A JPS 111:3 目次
45A 執筆の手引き
46A 役員一覧

著者プロフィール
308,319,324,329

134巻索引

 

 

 

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総説
ガバペンチンの神経因性疼痛緩解作用
抗てんかん薬ガバペンチンは、欧米において糖尿病性ニューロパチーや帯状疱疹後神経痛をはじめとす
る神経因性疼痛に対して高い有効性を示す治療薬として繁用されているが、その作用メカニズムについて
は未解明な部分が多い.本総説では、行動薬理学的および電気生理学的手法を用いて解明されたガバ
ペンチンの上位中枢を介する神経因性疼痛緩解作用の新規メカニズムについて論述する.
(田辺光男  ガバペンチンの上位中枢を介する神経因性疼痛緩解作用 p.299)

総説
うつ病と副腎皮質ステロイドホルモン受容体
うつ病患者では視床下部-下垂体-副腎皮質系(HPA系)の過活動やネガティブフィードバック機構の破
綻が認められることから,ストレス応答におけるHPA系機能制御に重要な役割を担うグルココルチコイド受
容体(GR)はうつ病の有力な創薬標的分子と考えられる.本稿では,GR拮抗薬の抗うつ作用とその作用機
序について紹介すると共に,近年うつ病との関連が示唆されるミネラルコルチコイド受容体にも焦点を当て
概説する.
(吾郷由希夫  うつ病と副腎皮質ステロイドホルモン受容体 p.304)

総説
網膜疾患治療の現状とアミロイド?の関与
アルツハイマー病発症の原因とされているアミロイド?(A?)の凝集・蓄積が,幾つかの網膜疾患において報
告されており,病態との関連性が示唆されている.そこで本稿では,網膜疾患の治療の現状とその病態に
おけるA?の関与,さらにA?をターゲットとした治療戦略について概説する.
(嶋澤雅光  網膜疾患治療の現状とアミロイド?の関与 p.309)

実験技術
ヒト組織バンク供給手術摘出組織の研究利用
ヒューマンサイエンス研究資源バンクでは、細胞株、遺伝子、動物胚に加え、手術で摘出されたヒト組織を
新鮮状態で産学官の研究機関に供給している。現在、滑膜、皮膚、内臓脂肪、消化器系癌(大腸、胃、食
道、膵臓の癌部位と非癌部位)が譲渡可能である。最近、内臓脂肪組織から脂肪前駆細胞を調製し、凍結
細胞として譲渡する事業も開始された.(吉田東歩 ヒト組織バンクから供給される手術摘出組織の研究利
用 p.315)

実験技術
幹細胞由来心筋細胞での心毒性試験
ES/iPS細胞由来心筋細胞を用い薬剤誘発性QT延長アッセイ系を構築した。本アッセイ系を用いることで
化合物の心毒性の可能性を創薬早期に検索し、創薬後期以降での“ドロップアウト”を減少させることが可
能となるかもしれない.(淺井康行 幹細胞由来心筋細胞を用いた創薬研究における心毒性試験 p.320)

実験技術
新規ラット前立腺肥大モデル
これまでに汎用されてきた前立腺肥大症の動物モデルは,組織学的観点から,ヒトの前立腺肥大症を反映
したモデルとは言い難く,著者らは,病理組織学的に,ヒトの前立腺肥大と同様な間質肥大を呈するモデ
ルを構築することに成功した.このモデルは,前立腺肥大症の発症メカニズムの解明や肥大を抑制する効
果的な新薬の創製に貢献することが期待される.この間質肥大モデルの概要について紹介する.
(森 文隆 新規ラット前立腺肥大モデル:ラット間質肥大モデル p.325)

創薬シリーズ(4)化合物を医薬品にするために必要な薬物動態試験(その3) 代謝⑥⑦⑧
創薬におけるCYP誘導評価
医薬品の開発において,薬物相互作用が重篤な問題となる場合がある.本稿ではチトクロムP450(CYP)酵
素誘導に注目し,創薬においてCYP誘導評価の意義について解説するとともに,ヒト凍結肝細胞を用いた
酵素誘導スクリーニング実践例とその誘導判定基準の設定について紹介する.また,取り扱いが難しいヒト
凍結肝細胞による活性評価で注意すべきポイントも解説する.(太田之弘 創薬における薬物によるCYP
誘導評価 p.330)

第II相代謝の評価と創薬
ヒトにおける代表的な第II相代謝酵素は、グルクロン酸抱合酵素(UGT)であるが、前臨床試験スクリーニン
グへの応用は進んでいない。UGTのヒトin vivo代謝反応の予測系の確立も、UGTの様々な特性が原因で
進展していない。グルタチオン抱合や硫酸抱合代謝物は、排出型トランスポーターの影響も受ける。今後、
第I相と第II相酵素反応を同時に考慮できる評価系の構築が期待されている.(横井 毅 第II相代謝の
評価と創薬 p.334)

反応性代謝物とその評価
医薬品の代謝過程で生成する反応性代謝物は数々の毒性の原因になると考えられており、そのようなリス
クのある化合物は、創薬段階での排除が期待される。最近、多くの製薬企業で、共有結合性試験やトラッ
ピング試験と呼ばれる評価法を行い、創薬の比較的早い段階から反応性代謝物の生成を評価し、候補品
の選択に利用している.(大江 知之 反応性代謝物とその評価 p.338)

 

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