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日薬理誌第135巻第1号 2010年1月

目次 ハイライト top
アゴラ
ネット時代のことば
金子周司 --- 1

総 説
アルツハイマー病の病態とバイオマーカー開発
荒井啓行、岡村信行、藁谷正明、古川勝敏、谷内一彦、工藤幸司 --- 3

ドパミン情報伝達を制御するホスホジエステラーゼ
西 昭徳、黒岩真帆美、首藤隆秀 --- 8

プリン作動性化学伝達のミッシングリンク: 小胞型ヌクレオチドトランスポーター
森山芳則 --- 14

一酸化窒素を介する脳血流調節とアルツハイマー病:最近の知見
戸田 昇、安屋敷和秀 --- 20

実験技術
タバコ煙溶液およびリポポリサッカライドによる肺気腫モデルの作製
水谷暢明、渕上淳一、高橋真樹、 奈邉 健、吉野 伸、河野茂勝 --- 25

創薬シリーズ(4)化合物を医薬品にするために必要な薬物動態試験(その4)排泄①②
腎排泄とトランスポーター
水内 博 --- 30

トランスポーターを介した薬物相互作用
永井純也 --- 34


キーワード解説
アセトアミノフェン肝障害-サイトカイン・ケモカインの役割-
石田裕子 --- 38

カルシトニン
吉村健史、伊藤彰敏 --- 40

最近の話題
マクロファージと食塩感受性高血圧の意外な関係
伊豫田拓也、喜多紗斗美、岩本隆宏 --- 42

心房細動治療薬としてのIKACh遮断薬の有用性
橋本哲郎 --- 43

学会便り
北部会市民公開講座 食品の安全と消費者の不安     
倉石 泰 --- 44

中国薬理学会第10回全国学術会議に出席して  
橋本敬太郎 --- 45

研究室訪問
富山大学 大学院医学薬学研究部 応用薬理学研究室
佐々木 淳 --- 46

東京女子医科大学 薬理学教室
丸 義朗 --- 47

訂 正
134巻5号289頁 ASKファミリー  
水上潤哉、他 --- 4A

新教授紹介
48頁 池田正明、新田淳美

お知らせ
1A  集会案内
2A  募集、安全性情報No.263
2A  事務局NEWS
3A  Calendar
4A  次号予告
5A  JPS 111:4 目次
6A  執筆の手引き
7A  役員一覧

著者プロフィール
7, 13, 19

部会報告/抄録
46頁/1P 第 60 回北部会  倉石 泰
47頁/9P 第121回関東部会 丸 義朗

 

ハイライト 目次 top
総説
アルツハイマー病の病態とバイオマーカー開発
アルツハイマー病の診断と薬効評価パラダイムが、従来の認知機能検査ベースからバイオマーカーベースへと大きくシフトしようとしている。現在最も有力なバイオマーカー候補とみなされているのが、蓄積したアミロイドを可視化する分子イメージングである。分子イメージング技術によって将来、発症前診断が可能になるかも知れない。製薬企業による根本治療薬開発との連動が不可欠である.(荒井啓行 p.3)

ドパミン情報伝達を制御するホスホジエステラーゼ
ドパミンは精神運動機能を調節する神経伝達物質であり、ドパミン情報伝達系の中でcAMP/PKAシグナルが中心的役割を担っている。cAMP産生を調節するドパミン受容体機能に加え、cAMPを分解するホスホジエステラーゼ(PDE)によるドパミン情報伝達制御にも注目する必要がある。本稿では、PDE抑制によるcAMP/PKAシグナル増強が、ドパミン情報伝達およびドパミン関連行動に及ぼす影響について概説する。(西 昭徳 p.8)

小胞型ヌクレオチドトランスポーター
ATPやアデノシンなどのヌクレオチドを情報伝達物質とする細胞間情報伝達を、プリン性化学伝達といい、痛みや味覚
等の感覚の伝達だけでなく、中枢・末梢において多彩な生理機能と密接に関わっている。このプリン性化学伝達のミッシングリンクがATP分泌に関わる、小胞型のATPトランスポーター(VNUT)であった。本文において、ATP分泌研究の歴史とVNUTのプリン性化学伝達における意義を述べる.(森山芳則 p.14)

一酸化窒素を介する脳血流調節とアルツハイマー病
神経源性とされてきたアルツハイマー病(AD)の認知障害に、脳循環低下による酸素供給の減少と代謝障害が関与するとの証拠が増えている。とくに脳血管内皮障害への関心が高い。β-アミロイド (Aβ) 沈着と脳微小血管内皮障害との間に強い相関が観察されている。内皮機能の主要マーカー一酸化窒素(NO)の減少はAβ沈着を助長し、AβはNOの働きや合成を抑制して脳血流を減少する。ADとNO/脳循環の関係について最近の興味ある情報をまとめた.(戸田 昇 p.20)

実験技術
肺気腫モデルの作製
本研究では,比較的短期間でCOPD様症状を示す動物モデルの作製を企図して,特に肺気腫症状を示す病態モデ
ルの作製を試みた。まず、1)肺にタバコ煙の成分を長時間滞留させるために、タバコ煙を溶液としてモルモットの気管内に直接投与し、さらには2)症状増悪化の因子である感染を考慮してリポポリサッカライドをタバコ煙溶液の投与とともに加えた。この方法により、3週間以内に肺気腫を示す動物モデルの作製が可能となった.(水谷暢明 p.25)

創薬シリーズ(4)化合物を医薬品にするために必要な薬物動態試験(その4) 排泄①②
腎排泄とトランスポーター
薬物の腎排泄に関与するトランスポーターの実体が明らかとなってきた。そのため医薬品開発においては,候補化合物がトランスポーターで輸送されるか,また,典型的な基質の輸送を阻害するかをin vitroで評価し,腎排泄メカニズムを明らかにするとともに腎での薬物間相互作用の可能性についての考察が求められつつある.本稿では腎尿細管に発現する薬物トランスポーターについて最近の知見を概説する.(水内 博 p.30)

トランスポーターを介した薬物相互作用
これまでCYPなどの薬物代謝酵素が関与する薬物相互作用について、数多くの報告がなされてきた。一方、薬物動態におけるトランスポーターの重要な役割が明らかになるに伴い、薬物相互作用にもトランスポーターが関与することを示す事例が増加してきている。本稿では、腎臓および肝臓におけるトランスポーターを介した薬物相互作用を中心に概説する.(永井純也 p.34)

 

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