総説
◆S-ニトロソ化による心筋活動電位調節
タンパク質アミノ酸システインの側鎖のチオール基におけるタンパク質修飾であるS-ニトロソ化は,一酸化窒素(NO)による直接的なタンパク質修飾による機能調節として,心臓電気活動を含む幅広い生体機能に関与している.心筋イオンチャネルへのS-ニトロソ化の関与とその心臓活動電位への影響について概説する.
(黒川洵子 S-ニトロソ化による心筋活動電位調節についてp.95)
総説
◆小胞体Ca2+放出におけるTRICチャネルの生理的役割
細胞内ストアである小胞体がCa2+遊離チャネルを介して効率的に細胞質へ放出するためには、カウンターイオンによる発生荷電の中和が不可欠であると想定されている。TRICチャネルは3回膜貫通セグメントを有し、小胞体膜上でホモ三量体を形成し、K+透過性チャネルとして機能する。胎生致死性を示すTRIC完全欠損マウスおよび新生致死性を示すTRIC-B欠損マウスにおいて得られた成果から、TRICは小胞体Ca2+放出に連動したカウンターイオンチャネルとして機能することが想定される.
(山崎大樹 小胞体Ca2+放出におけるTRICチャネルの生理的役割p.99)
実験技術
◆二光子顕微鏡による脳in vivoイメージング
多光子励起過程を利用した蛍光顕微鏡である2光子顕微鏡は、様々な利点を持つことから、神経科学をはじめ生物学の領域において、広く使用されるようになってきた。本稿では2光子顕微鏡の動作原理、in
vivoイメージングにおける利点およびin vivoイメージングの応用例を紹介する.
(鍋倉淳一 二光子顕微鏡を用いた脳のin vivoイメージング p.104)
創薬シリーズ(4) 化合物を医薬品にするために必要な薬物動態試験(5)その他③④
◆ハイスループット薬物動態分析技術
創薬において探索薬物動態研究は重要なポジションを占めているので、薬物動態試験が探索系のボトルネックになってはならない。そのためにハイスループット薬物動態分析の開発と工夫が常に行なわれているので、ハイスループット分析へのアプローチとその際の留意点について紹介する.
(山田泰弘 創薬段階でのハイスループット分析技術 p.109)
◆探索的臨床試験と薬物濃度分析法
「マイクロドーズ(MD)臨床試験の実施に関するガイダンス」の薬物濃度分析法で、LC/MS/MS法はカセットドーズでの個々の薬物濃度のPK(MD-TD)予測、CYP
およびトランスポーターの多剤併用群での薬物相互作用に適する。AMS法はヒト特有代謝物の検出、MIST問題の解決、Mass Balanceの評価ができる。PET法は薬物の受容体占有率、親和性を動的三次元画像解析できる.これらの技術の概要と意義について紹介する.
(戸塚善三郎 探索的臨床試験と薬物濃度分析法 p.113)
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