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日薬理誌第135巻第4号 2010年4月

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アゴラ
Show the flag!
萩原正敏  --- 125

特集 眼薬理学の最近の進歩
序文
原 英彰 --- 127

1:緑内障薬物治療薬の現状と未来
相原 一 --- 129

2:アレルギー性結膜炎におけるヒスタミンH4受容体の関与
亀井千晃、中野祥行、香川陽人、伊澤可奈、矢野春奈 --- 134

3:ドライアイ研究の最前線
中村雅胤 --- 138

4:網膜神経細胞死の再生・分化を制御する因子
赤池昭紀、久米利明、泉 安彦、小坂田文隆 --- 142

5:網膜循環改善薬の現状と将来
中原 努、森 麻美、坂本謙司、石井邦雄 ---146

6:網膜血管新生とその治療薬
中村信介、嶋澤雅光、原 英彰 ---149

総 説
ヒスタミンH1 受容体遺伝子発現亢進の病理学的意義 福井裕行 --- 153

新薬紹介総説
直接的レニン阻害薬アリスキレン(ラジレスR)の薬理学的特長および臨床試験成績
田中基晴、赤堀壬紀、後藤展見 ---159


キーワード解説
QT短縮
谷口智彦、澤田光平 --- 169

グリコーゲン合成酵素キナーゼ3β
根本隆行、柳田俊彦、和田明彦 ---171

最近の話題
硝酸薬耐性と内皮機能障害
伊藤猛雄 ---173

薬物活性リズムと時間薬剤学
大戸茂弘 ---174

リレーエッセイ
No lab No life
毛利彰宏 ---175
 



 

 

お知らせ
29A  集会案内、募集、安全性情報No.266
30-31A JPS Vol 112:3 目次、次号予告、訃報
32A   Calendar
176頁 執筆の手引き
表3   役員一覧


 

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特集:眼薬理学の最近の進歩
目の疾患の中でもまだ十分な治療薬がない疾患であるアレルギー性結膜炎、ドライアイ、緑内障、糖尿病網膜症、加齢黄斑変性症についての治療の現状と未来について、さらには網膜神経細胞死の再生ならびに網膜循環改善薬について概説する.(原 英彰「眼薬理学の最近の進歩」序文 p.127)

緑内障薬物治療薬の現状と未来
緑内障治療は点眼による眼圧下降治療が主であり、プロスタグランジン関連薬を中心とした8種類の作用点を持つ薬剤が存在する。現在、眼圧下降はもちろん点眼アドヒアランスを高めることも主眼においた薬剤選択と薬剤開発が望まれている。将来は眼圧下降機序のさらなる解明に基づく新規薬剤開発と神経保護薬の開発がまたれる.
(相原一 緑内障薬物治療薬の現状と未来 p.129)

アレルギー性結膜炎とヒスタミンH4受容体
アレルギー性結膜炎におけるヒスタミンH4受容体の関与を検討する目的で,H1受容体作動薬,H1受容体拮抗薬,H4受容体作動薬およびH4受容体拮抗薬を用いて検討した.その結果,H1受容体拮抗薬のみならずH4受容体拮抗薬も抗原誘発アレルギー性結膜炎を抑制し,両者の併用により効果は増強された.以上の成績より,H4受容体はアレルギー性結膜炎と密接に関与することが示唆された.
(亀井千晃 アレルギー性結膜炎におけるヒスタミンH4受容体の関与 p.134)

ドライアイ研究の最前線
ドライアイは近年、メディアなどでも取り上げられ広く世間でも認識されている疾患である。過去十数年間のドライアイに関する研究の進歩はめざましいものがある。本稿では、特に新しいドライアイの定義と診断基準を紹介するとともに、最近のドライアイ治療薬の開発の方向性、新しいドライアイの検査・診断法について概説する.
(中村雅胤 ドライアイ研究の最前線 p.138)

網膜神経細胞死の再生・分化制御因子
加齢黄斑変性や網膜色素変性などの眼疾患の治療には、網膜の再生医療が有望な方法として期待されている。網膜傷害にはグリアが網膜前駆細胞に脱分化し視細胞へと分化することが明らかにされてきた。さらに、ES細胞から視細胞への分化制御方法の確立により、ヒトES細胞由来視細胞移植による網膜の再生治療の実現化を大きく前進しつつある。網膜再生医療に向けた網膜前駆細胞およびES細胞の分化制御に関する最近の興味ある情報をまとめた。
(赤池昭紀 網膜神経細胞死の再生・分化を制御する因子 p.142)

網膜循環改善薬の現状と将来
我々は,独自に小動物用眼底撮影装置を製作し,それを用いてin vivoで網膜血管の薬物反応性評価システムを構築することにより,正常および病態(糖尿病,高血圧,緑内障)モデルラットにおける網膜循環に関する一連の研究を行ってきた.本稿では,これまでに検討してきた 40 種類の血管拡張薬の中から,網膜循環改善薬の候補として挙げることができる薬物について紹介する.
(中原 努 網膜循環改善薬の現状と将来 p.146)

網膜血管新生治療薬
老齢人口の増加に伴って眼内血管新生を病因とする失明率が増加の一途をたどっている。近年、血管内皮細胞増殖因子をターゲットとした抗体医薬が登場したことにより、その治療法は進化し大きな成果を上げているものの、まだ十分に有効な治療薬は見出されていないのが現状である。そこで、抗体医薬とは異なる作用機序および投与法を持つ医薬品の開発も数多く行われている。これら眼内血管新生に関する最新の治療薬の開発状況ならびに次世代の治療薬について解説する.
(中村信介 網膜血管新生とその治療薬 p.149)

総説
 ヒスタミンH1受容体遺伝子発現亢進の病理学的意義
ヒスタミンH1受容体遺伝子はアレルギー疾患の症状発現に関与する疾患感受性遺伝子であることが強く示唆された。ヒスタミンH1受容体遺伝子発現機構にはタンパク質キナーゼC-δシグナルが関与し、抗アレルギー作用の伝承を持つ天然物医薬にタンパク質キナーゼC-δの抑制作用が見いだされた.
(福井裕行 ヒスタミンH1受容体遺伝子発現亢進の病理学的意義 p.153)

新薬紹介総説
直接的レニン阻害薬アリスキレン(ラジレスR
アリスキレンはレニン・アンジオテンシン・アルドステロン系の起点に位置する酵素のレニンを直接的に阻害する新規の経口降圧薬であり,2009年に国内で承認された。国内,海外の臨床試験において,軽症から中等症およびさまざまな合併症を併発した高血圧患者に対して,1日1回投与で持続的な降圧効果を示し,忍容性にも優れていた。また,臓器保護効果も示唆されており,今後の高血圧治療に有用な薬剤として期待される.
(田中基晴 直接的レニン阻害薬アリスキレン(ラジレスR)の薬理学的特長および臨床試験成績 p.159)

 




 

 

 

 

 

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