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日薬理誌第136巻第2号 2010年8月

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アゴラ
心と身 -個体レベルのシステム科学としての薬理学-
南 雅文 69

特集 循環器疾患治療薬の研究戦略
序文
芝野俊郎 ---71

1:高血圧治療薬の開発におけるテレメトリー法の活用
西尾将史 ---72

2:新規心房細動治療薬としての選択的アセチルコリン感受性K+チャネル遮断薬の有用性
橋本哲郎 ---77

3:抗血栓薬の研究戦略と経口FXa阻害薬エドキサバンの薬効薬理
森島義行、芝野俊郎 ---83

4:Factor Xa (FXa) 阻害薬の次世代経口抗凝固薬としての可能性
  -前臨床成績から見た将来展望-
小西典子、廣江克彦、川村正起 ---88

総 説
ATP受容体による中枢機能調節:ミクログリアの役割
齊藤秀俊、津田 誠、井上和秀 ---93

一酸化窒素(NO) による7回膜貫通型受容体の制御とその気管支喘息の病態における関与の可能性
小澤健太郎 ---98

実験技術
カニクイザルを用いた、たこつぼ型心筋症モデル作製
泉 康雄 ---103

創薬シリーズ(5)トランスレーショナルリサーチ⑤
トランスレーショナルリサーチとしての臨床薬理学研究
植田真一郎 ---107

新薬紹介総説
新規5-HT3受容体拮抗型制吐薬パロノセトロン塩酸塩(アロキシR静注0.75 mg)の薬理学的および薬物動態学的特長、ならびに臨床試験成績
味岡廣房、森田文雄、秋澤有四郎、吉田健一郎、北村龍一、滝本久美 ---113

最近の話題
組織型プラスミノゲン活性化因子 (t-PA) は血小板由来増殖因子(PDGF)-CCを介して脳梗塞進展を促進する
のか抑制するのか?
鈴木康裕 ---121

慢性疼痛における脊髄アストロサイトの役割
中川貴之 ---122

リレーエッセイ
私の目標
合田光寛 ---123


訂 正
日薬理誌130巻4号275-280頁(2007) ---9A

 

追悼文
67頁 森田雅夫先生のご逝去を悼む
            稲垣千代子

新教授紹介
124頁田辺光男、松野純男、村越隆之

お知らせ
9A 年1回以上のJPS論文引用を!
10A 平成22年度第2回臨時総会報告
10A 平成22年度第3回理事会報告
11A 集会案内、安全性情報No.270
12-13A Calendar、次号予告
14A  JPS 113:3 目次
111頁 執筆の手引き
表3  役員一覧

著者プロフィール
82,97,102


 

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特集:循環器疾患治療薬の研究戦略
循環器用薬の開発は“冬の時代”と言われて久しいが、先進国での死亡原因の半数は依然として循環器系疾患であり、アンメットメディカルニーズは数多く残されている。このニーズに対する各製薬企業の研究の方向性を紹介する。(芝野俊郎「循環器疾患治療薬の研究戦略」序文 p.71)

高血圧治療薬開発におけるテレメトリー法活用
テレメトリー法は優れた機能と利便性から世界中の研究機関に広く普及しており、現代の創薬において必要不可欠な試験ツールとなっている。遺伝子組換え技術の進歩により種々の遺伝子改変マウスが作成されており、アンメットニーズを対象とした創薬においてテレメトリー法と遺伝子改変動物の組み合わせが極めて重要なツールになると期待されている。高血圧治療薬の開発におけるテレメトリー法の活用法と可能性について紹介する。(西尾将史 p.72)

新規心房細動治療薬としての選択的アセチルコリン感受性K+チャネル遮断薬
心房細動は臨床上最もよくみられる不整脈の一つであり、高齢者に多くみられることから今後も患者数が増加することが懸念されている。既存の抗不整脈薬は有効性および安全性に課題があることから、新薬の開発が望まれている。本稿ではアセチルコリン感受性カリウムチャネル遮断薬の抗心房細動薬としての有用性について概説する.(橋本哲郎 p.77)

抗血栓薬の研究戦略と経口FXa阻害薬の薬効薬理
日本人の死因の上位を占める悪性新生物、心疾患、脳血管疾患のうち、心疾患と脳血管疾患の多くは血栓症が原因であり、血栓症を予防・治療する抗血栓薬の意義は極めて大きい。近年、抗血栓薬の中で、抗凝固薬の古典的な標準薬のワルファリンやヘパリンの欠点解消を目指した新しい抗凝固薬の開発が進んでいる。そこで、我々の抗凝固薬の研究戦略と経口血液凝固Xa因子阻害薬エドキサバンの薬効薬理と最新の開発状況を紹介する。(森島義行 p.83)

FXa阻害薬の次世代経口抗凝固薬としての可能性
近年,ワルファリンに代わる次世代経口抗凝固薬として,活性化血液凝固第X因子(factor Xa, FXa)阻害薬が注目されている.経口FXa阻害薬は様々な血栓症モデルにおいて,出血を伴わない用量から抗血栓作用を示し,ワルファリンよりも薬効と出血副作用との安全閾が広い画期的な新薬となる可能性が示唆されている.本稿では,これらの前臨床成績から見た経口FXa阻害薬の将来展望について論じたい.(小西典子 p.88)

総説
ATP受容体による中枢機能調節:ミクログリアの役割
中枢環境の維持・調節を担うグリア細胞の一種であるミクログリアは,細胞外液性因子の放出,傷害部位に対する走化性,死細胞や異物を取り込む貪食作用を発揮し,中枢環境の監視・一次対応の役割を担っていると考えられる.本稿では,ATP受容体によって引き起こされるこれらミクログリアの細胞機能発現について,各受容体サブタイプごとにその現象と生理的および病態生理的役割について紹介する.(齊藤秀俊 p.93)


総説
一酸化窒素による7回膜貫通型受容体の制御と気管支喘息病態
一酸化窒素(NO)の作用の新しい分子メカニズムとしてNOがシステインのチオール基を修飾するS-ニトロシル化が注目されている。本稿では3つのタンパク質のS-ニトロシル化がGPCRの制御を行っている機構を示し、その機構が気管支喘息の発症機構に関与している可能性を提示する.(小澤健太郎 p.98)

実験技術
カニクイザルたこつぼ型心筋症モデル
たこつぼ型心筋症は、過度のストレスを受けることなどにより心尖部を中心に左室壁運動が低下する疾患だが、その発症機序は十分に解明されていない。本稿では、カニクイザルにエピネフリンを反復投与することにより、極めてヒトの病態に類似したモデル作製法の確立に成功したので紹介する。本モデルが、たこつぼ型心筋症の病態解明につながることを期待する。(泉 康雄 p.103)

創薬シリーズ(5)トランスレーショナルリサーチ⑤
トランスレーショナルリサーチとしての臨床薬理学研究
トランスレーショナルリサーチは、動物による非臨床試験から、多様性をもち疾患の時間軸のより長いヒトへの橋渡し研究であり、妥当性のあるゲノムバイオマーカーやサロゲートマーカーを用いた臨床薬理学的研究が必要とされている.(植田真一郎 p.107)

新薬紹介総説
新規5-HT3受容体拮抗型制吐薬パロノセトロン塩酸塩(アロキシR静注0.75 mg)
新規5-TH3受容体拮抗型制吐薬であるパロノセトロン塩酸塩(アロキシR静注)は,5-HT3受容体に対し高い親和性と選択性を示し,また,ヒトでの消失半減期が約40時間と長く,抗悪性腫瘍薬投与による遅発性の悪心,嘔吐に対し優れた抑制効果を示した.パロノセトロンのこの嘔吐,悪心抑制効果は癌化学療法患者のQOL改善に極めて有効な薬剤であると期待される.(味岡廣房 p.113)

 

 

 

 

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