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日薬理誌第136巻第5号 2010年11月

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アゴラ
大学院教育を改善するには
楢橋敏夫 --- 253

特集 代謝性疾患治療薬の研究戦略
1:序にかえて  
松尾孝徳、雪岡日出男 --- 255

2:新規2型糖尿病治療薬としてのGPR119アゴニスト
吉田 茂 --- 259

3:胆汁酸からの糖・脂質代謝疾患への新たなアプローチ
石井伸一 --- 265

4:新規ニューロペプチドY Y5受容体アンタゴニストS-2367の抗肥満作用
雪岡日出男 --- 270

総 説
抗がん剤による末梢神経障害の治療薬の現状
江頭伸昭、川尻雄大、大石了三 --- 275

抗体医薬品の体内動態制御に関わる受容体:FcRn
石井明子、鈴木琢雄、多田 稔、川西 徹、山口照英、川崎ナナ--- 280


実験技術
PKA融合ホタルルシフェラーゼを用いた細胞内cAMPレベルの測定法 
小原祐太郎、中畑則道 --- 285

創薬シリーズ(5)トランスレーショナルリサーチ⑧⑨
基礎から臨床へ-トランスレーショナルリサーチの過去と現在-
田中紀子 --- 290

日本におけるがんトランスレーショナルリサーチの現状と課題
和田 智、西山正彦 --- 294

新薬紹介総説
DPP-4阻害薬ビルダグリプチンの薬理学的特長と臨床効果
伊藤立信、輪島輝明、山口正之、三森信幸、関口金雄 --- 299


最近の話題
セロトニントランスポーター阻害薬のセロトニン神経に対する作用  ―トランスポーター機能の新たな側面―   
中川貴之 --- 309
 
薬剤使用量に基づいたヘルスヴィジランスシステムによる新型インフルエンザの流行推定
齋藤充生、林  譲 --- 310
 

リレーエッセイ
私の特徴をみつけるために  
中本賀寿夫 --- 311

 

追悼
251頁  辻本明先生のご逝去を悼む  土肥敏博

新教授紹介
312頁  寺本憲功、橋本 均

お知らせ
33A  集会案内、安全性情報No.272
34A  Calendar、訃報
35A  JPS 114:2 目次
312頁 次号予告
表2対向  執筆の手引き
表3  役員一覧

著者プロフィール
269, 279

 


 

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特集:代謝性疾患治療薬の研究戦略

代謝性疾患治療薬の研究戦略
肥満、糖・脂質代謝異常および高血圧などの複数の危険因子が1個人に集積した疾患が“メタボリックシン
ドローム”として一般にも広く認識されつつある。肥満は本疾患概念の最も上流に位置する疾患であり、糖
尿病は患者のQOLを著しく損なう特有の合併症を併発することから,これらに対する安全かつ著効を示す
新規機序の治療薬のニーズは高い。本稿では肥満治療薬および2型糖尿病治療薬の研究開発を取り巻く現状
について概説する.(松尾孝徳 p.255)

新規2型糖尿病治療薬としてのGPR119アゴニスト
GPR119アゴニストは,膵臓β細胞におけるグルコース依存性のインスリン分泌と腸内分泌細胞におけるイ
ンクレチン(GLP-1,GIP)分泌の促進を作用機序として血糖値をコントロールできる創薬コンセプトであ
り,ジペプチジルペプチダーゼ4阻害薬に次ぐ,次々世代の新規経口糖尿病治療薬として期待される.
(吉田 茂 p.259)

胆汁酸からの糖・脂質代謝疾患への新たなアプローチ
これまで胆汁酸は、その生合成機序や脂質の吸収排泄を調節する因子としての役割が研究されてきたが、近
年新たにMetabolic modulatorとしての糖・脂質代謝改善作用が注目されている。本稿では胆汁酸からの糖・
脂質代謝異常への新たな創薬アプローチについて紹介する.(石井伸一  p.265)

新規ニューロペプチドY Y5受容体アンタゴニストS-2367の抗肥満作用
ニューロペプチドY Y5受容体アンタゴニストであるS-2367は動物実験で有意な抗肥満作用を示し、その際、
体重抑制に伴う肥満病態改善効果が認められた。さらに、米国で実施された1年間の臨床試験により有意な
体重抑制が観察され、肥満治療におけるY5受容体アンタゴニストの有用性が確認された.
(雪岡日出男 p.270)

総説
抗がん剤による末梢神経障害の治療薬の現状
がん化学療法の有用性が高まってきたが,抗がん剤の副作用は治療を進めていく上で大きな障害となってい
る.本稿では抗がん剤による末梢神経障害に焦点を当てて,それらの特徴,対策の現状,治療薬に関する基
礎研究について報告するとともに,著者らが作製した抗がん剤による末梢神経障害動物モデルを用いた研究
成果を紹介する.(江頭伸昭  p.275)

総説
抗体医薬品の体内動態制御に関わる受容体:FcRn
合理的創薬が可能な分子標的薬として注目されている抗体医薬品。疾患関連分子に特異的かつ高親和性に結合
することに加えて、他のバイオ医薬品と比較して長い血中半減期を持つ点が特徴である。本稿では、抗体医薬品
の体内動態制御に関わるneonatal Fc receptor (FcRn)について、既承認抗体医薬品のFcRn結合親和性を解析
した我々の研究結果を含めて概説する.(石井明子  p.280)

実験技術
PKA融合ホタルルシフェラーゼを用いた細胞内cAMPレベルの測定法
様々な生理活性物質はそれぞれの受容体に結合後、細胞内でその情報がcAMPなどのセカンドメッセンジャ
ーなどに変換される。それゆえに、細胞内cAMPレベルを定量することは重要である。近年、新たなcAMP
の定量法の開発を目的として、PKAのcAMP結合部位をルシフェラーゼ遺伝子に組み込んだルシフェラー
ゼ改変体が作製された。本稿では、この新しい定量法の特徴を既存の方法論と比較しながら考察する.(小
原祐太郎 p.285)

創薬シリーズ(5) トランスレーショナルリサーチ
トランスレーショナルリサーチの過去と現在
「トランスレーショナルリサーチ」(橋渡し研究)は当初がん治療・予防に特化していたが、現在では種々
疾患に対する薬剤、医療機器、治療法の初期開発に対して用いられるようになり、国際誌の数も年々増加し
ている。本稿ではその歩みについてたどる.(田中紀子  p.290)

日本におけるがんトランスレーショナルリサーチの現状と課題
我が国のがん基礎研究における成果は国際的にも高く評価されており、早期の新規医療への発展・応用が望
まれている。しかしながら、現在までに臨床実践の場に還元されるに至った基礎研究の成果はきわめて少な
く、がんトランスレーショナルリサーチの促進と充実が強く求められている。がんトランスレーショナルリ
サーチの現状と課題について概説する. (和田智 p.294)

新薬紹介総説
DPP-4阻害薬ビルダグリプチンの薬理学的特長と臨床効果
エクア?(有効成分:ビルダグリプチン)はDPP-4(ジペプチジルペプチダーゼ4)活性を阻害することに
よりGLP-1濃度を高め,膵島機能を改善する新しいタイプの2型糖尿病治療薬である。本稿ではこれまで
に社内外で得られているデータを元に,その薬理学的特長,薬物動態,ならびに臨床成績について概説する.
(伊藤立信 p.299)

 

 

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