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日薬理誌第137巻第2号 2011年2月

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アゴラ
「歯科的」薬理学研究について考える
東城庸介 --- 57

特集 プライマリ・ケアの実践と薬理学
序文 吉山友二 --- 59

1:プライマリ・ケア医に必要な薬理学の知識
石橋幸滋 --- 60

2:ドーピング防止薬剤師がそなえる薬理学的知識
笠師久美子 --- 65

3:医療人がそなえる薬理学の知識プラスα   
上塚朋子 --- 68

実験技術
改良型アデノウイルスベクターの開発と神経系細胞への遺伝子導入
松井勇人、櫻井文教、形山和史、水口裕之--- 70

創薬シリーズ(5)トランスレーショナルリサーチ⑬⑭⑮
高分子ミセル型DDSのトランスレーショナルリサーチ
西谷孝子、松村保広、片岡一則 --- 75

精神疾患のトランスレーショナルリサーチ -統合失調症-
橋本亮太、安田由華、大井一高、福本素由己、山森英長、新谷紀人、橋本 均、馬場明道、武田雅俊 --- 79

グレリンのトランスレーショナルリサーチ
赤水尚史 --- 83


新薬紹介総説
関節リウマチ治療薬アバタセプト(オレンシア?点滴静注用250 mg)の薬理学的特性および臨床効果  
安岡由佳、後藤 新、芹生 卓 --- 87

新規抗てんかん薬レベチラセタム(イーケプラ?錠)の薬理作用と臨床成績
石井 豊、田中 岳 95

薬物作用の統合的解析による創薬と最適な薬物療法の実現をめざして
山田静雄  1

特集 漢方薬理学:臨床医学的エビデンスから薬理学的エビデンス
序文 佐藤広康、高橋京子 --- 3

1:漢方薬の加齢的薬効変化:高齢者に対する有効性
佐藤広康、西田清一郎 --- 4

2:漢方薬の臨床効果は構成生薬の品質を反映する
柴原直利、高橋京子 --- 8

3:漢方のCAMからの脱出:大建中湯を中心に
河野 透 --- 13

4:機能性ディスペプシアに対する六君子湯の有用性の検討:エビデンス確立に向けて
新井誠人、松村倫明、吉川正治、今関文夫、横須賀 収 --- 18

総 説
網膜色素変性症の原因と新規治療法開発の現状
坂本謙司、森 麻美、中原 努、石井邦雄 --- 22

創薬シリーズ(5)トランスレーショナルリサーチ⑫
がんワクチンのトランスレーショナルリサーチ
珠玖  洋、原田直純 --- 27

新薬紹介総説
パニツムマブ(ベクティビックスR点滴静注100 mg)の薬理学的特徴および臨床試験成績
松平忠弘、朝日第輔、梁 幾勇、網干正幸 --- 31

高選択的DPP-4阻害薬アログリプチン安息香酸塩(ネシーナR錠)の薬理作用および臨床効果
武内浩二、藤田哲也、廣居伸蔵 --- 43

キーワード解説
ナトリウム/リン共輸送担体
杉野紗貴子、塩崎雄治、辰己佐和子、瀬川博子、宮本賢一 --- 51


最近の話題
Ephrin/Eph受容体シグナルを介したneuron-glia communication     
佐藤 薫 --- 53

 
研究室訪問
北海道医療大学 歯学部 口腔生物学系 薬理学分野
東城庸介 --- 54

自治医科大学 医学部薬理学講座 臨床薬理学部門
安藤 仁 --- 55


リレーエッセイ
”わくわく” に素直に  
佐々木 淳 --- 56


最近の話題
AGE-RAGE阻害薬
渡邉琢夫、山本 博 --- 104

食事による体内時計の調節と代謝異常疾患
河合 洋 --- 105  
 
 
リレーエッセイ
薬理学研究を通じて
内田仁司 --- 106

お知らせ
前綴込 部会案内、払込取扱票
      第4回江橋節郎賞決定
      第26回学術奨励賞決定

5A-9A 第84回年会案内(第3報)
10A     事務局NEWS、次号予告
11A     募集、安全性情報No.275
        集会案内
12A      Calendar
13A     JPS 115:1目次
14A     執筆の手引き
広告第1頁 英語目次
表3      役員一覧

著者プロフィール
64, 67

 

 

 

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特集  プライマリ・ケアの実践と薬理学
プライマリ・ケアの現場で活躍する医療従事者にとって、基本的な薬理学知識は現在でも変わらず重要かつ臨床業務の土台となる知識である。「プライマリ・ケアの実践と薬理学」に関する本特集を通読することにより、プライマ リ・ケアの実践に役立つ薬理学の研究および教育の展開に資することを目指している。 (吉山友二 「序文」 p.59)

プライマリ・ケア医に必要な薬理学の知識
プライマリ・ケアの現場で働く医師は、基本的な薬理学知識と最新の薬に対する客観的で正確な知識を持たなければならないが、その修得は極めて困難である.そこで、共に働く薬剤師によるチェックやアドバイスが必要であり、そのために地域医療の現場ではプライマリ・ケアに卓越した薬剤師が求められている.(石橋幸滋  p.60)

ドーピング防止薬剤師がそなえる薬理学的知識
「ドーピング」は作為的な行為によるものばかりではなく、医薬品やドーピングに関する知識不足による使用も多く含み、結果的に同様の制裁を受けるのが現状である.ドーピング防止のためには薬に関する教育や相談応需、医薬品情報の提供、禁止物質を治療目的に使用する場合の申請書作成の支援などが必須となってくる.スポーツにおける適正な薬物療法と安全性の担保のためにはどのような知識が必要かを考えてみたい.(笠師久美子  p.65)

医療人がそなえる薬理学の知識プラスα
薬学部6年制への移行に伴い、臨床実習の延長や実習前の客観的臨床能力試験に注目が集まっているが、従来からカリキュラムに組み込まれている薬理学は現在でも変わらず重要だと考えられる.近年の薬物治療の高度化・複雑化の中で、安全で効果的な薬物治療を支援するために薬剤師の果たす役割は拡大してきた.日米両国での薬学教育を受けた経験から薬理学の効果的な教育方法について紹介する.(上塚朋子  p.68) 

実験技術
改良型アデノウイルスベクターの開発と神経系細胞への遺伝子導入
アデノウイルス (Ad)ベクターは、既存の遺伝子導入用ベクターの中では、最も高い遺伝子導入効率を示すことから、遺伝子治療臨床研究で最も多く用いられている。本稿では、前半で近年盛んに開発研究が行われている改良型Adベクターについて紹介し、後半では改良型Adベクターを用いた神経系細胞への遺伝子導入ならびに神経膠腫 (グリオーマ)の遺伝子治療への応用例を中心に概説する.(松井勇人 p.70)

創薬シリーズ(5)トランスレーショナルリサーチ⑬⑭⑮
高分子ミセル型DDSのトランスレーショナルリサーチ
既存の制がん薬の副作用軽減、バイオアベイラビリティーの向上、および患者のQOL向上を図ることのできるがん治療用DDS製剤は、日本発の技術として世界に発信していかねばならない製品であり、大学、企業、医療機関が協力したトランスレーショナルリサーチにより、 ”bench to clinic” のスピーディーな開発が必要である.(西谷孝子 p.75)


精神疾患のトランスレーショナルリサーチ-統合失調症-
精神疾患の代表である統合失調症は、幻覚・妄想などの精神症状に伴って重篤な社会機能障害が起こる病気であるため、その病態に基づいた新たな治療薬の開発が望まれている。そこで、分子遺伝学と中間表現型を用いてリスク遺伝子群を見出す研究が進められており、その成果が得られてきている。これらのリスク遺伝子群に基づいた治療薬の開発研究が始まっており、今後の成果が期待される。(橋本亮太 p.79)

グレリンのトランスレーショナルリサーチ
現在、グレリンの生理・薬理作用を臨床応用する創薬研究が精力的に行われているが、本稿では、特にグレリンの成長ホルモン分泌促進作用と摂食促進作用について述べ、創薬研究の現状を紹介する。(赤水尚史 p.83)

新薬紹介総説
関節リウマチ治療薬アバタセプト(オレンシアR点滴静注用250 mg)
アバタセプトは抗リウマチ薬として新規の作用機序をもつT細胞選択的共刺激調節薬である.既存の生物学的製剤はTNFやIL-6等の炎症性サイトカインを標的としているのに対して,本剤は炎症発生の上流にある抗原提示細胞とT細胞間の共刺激経路を阻害することでT細胞の活性化調節する.本稿では関節リウマチ治療における新たな治療オプションをもたらす薬剤として期待されるアバタセプトの薬理学的特徴と臨床成績を紹介する.(安岡由佳 p.87)

新規抗てんかん薬レベチラセタム(イーケプラR錠)
レベチラセタムはシナプス小胞タンパク質2A(SV2A)に結合する新規の抗てんかん薬である.欧米ではすでに10年以上の使用実績があり、有効性と忍容性のバランスに優れ、幅広い作用スペクトラム有することからてんかんの薬物療法の第一選択薬として位置づけられている.本邦でも部分てんかん患者に対する併用療法としての有用性が期待される.本稿ではレベチラセタムの薬理学的特徴および臨床試験成績について紹介する.(石井豊 p.95)

 

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