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日薬理誌第138巻第1号 2011年7月

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アゴラ
学会発表の効能
井上敦子 --- 1

特別講演総説
融合型ALKキナーゼを標的とした新しい抗がん薬
間野博行 --- 3

総説
脂質メディエーターとして機能するN-アシルエタノールアミンの分解酵素とその阻害薬
坪井一人,上田夏生 --- 8

実験技術
蛍光タンパク質を用いた細胞内シグナル伝達の可視化
大場雄介、津田真寿美 --- 13

創薬シリーズ(5)トランスレーショナルリサーチ(22)、(23)
変形性膝関節症の画像診断・評価の最前線  
岡 敬之,吉村典子 --- 18

変形性関節症の治療標的分子へのアプローチ
川口 浩 --- 22


新薬紹介総説
新規抗腫瘍薬ベンダムスチンの作用機序と臨床効果
古川雄祐、平岡信弥、和田妙子、菊池次郎、加納康彦 --- 26

血小板造血刺激因子製剤/トロンボポエチン受容体作動薬ロミプロスチム
(販売名:ロミプレート®皮下注250 μg調製用)の薬理学的特徴および臨床効果
古屋良宏、石井裕三、青野友紀子、新井康正、恩田史昭、長谷川要、柳田 誠 --- 34


キーワード解説
Nrf2/Keap1酸化ストレス応答系 
伊東 健 --- 41

心臓突然死のリスク予測に有用な新指標:beat-to-beat variability of repolarization
高原 章,中村裕二,杉山 篤 --- 43


最近の話題
組織環境におけるマスト細胞の新たな機能 
田中智之 --- 45

うつ病とMAPK phosphatase-1 (MKP-1)
関 貴弘 --- 46


リレーエッセイ
薬理学から生理学への専攻転向で感じた思い 
南雲康行 --- 47


書評
薬の散歩道 
笹栗俊之 --- 48


新教授紹介

1A 安西尚彦,岡田尚志郎,
   成田 年,前田武彦

お知らせ
前綴込 部会案内,払込取扱票,
      新薬理学セミナー2011


2-3A  Calendar,次号予告,訃報
4A   集会案内、募集
広告第1頁  JPS 116:2 目次
表2対向  執筆の手引き
表3   役員一覧

著者プロフィール
12

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特別講演総説
融合型ALKキナーゼを標的とした新しい抗がん薬
肺がんにおいて新たに発見されたEML4-ALKがん遺伝子は、染色体転座の結果EML4遺伝子の5’側がALKの3’側と融合するものであり,恒常的に活性化された融合型チロシンキナーゼを産生する.EML4-ALK陽性肺がんに対する分子標的治療薬としてALK特異的阻害薬が急ピッチで開発・臨床試験されており,すでに優れた治療効果が確認されたものもある.(間野博行 p.3)

総説
脂質メディエーター N-アシルエタノールアミンの分解酵素と阻害薬
長鎖脂肪酸のエタノールアミドであるN-アシルエタノールアミンは一群の脂質メディエーターであり,分子種に応じてカンナビノイド様作用,抗炎症・鎮痛作用,食欲抑制作用などの生物活性を示す.本稿では,その分解酵素である脂肪酸アミド加水分解酵素(FAAH)とN-アシルエタノールアミン水解酸性アミダーゼ(NAAA)について概説し,さらに新規医薬品への応用が期待されている両酵素の阻害薬の開発について紹介する.(坪井一人 p.8)

実験技術
蛍光タンパク質を用いた細胞内シグナル伝達の可視化
細胞内シグナル伝達のダイナミクスを解析するための必須ツールである蛍光タンパク質を用いたイメージング技術の基礎や応用例を紹介する.また,実際に技術導入を考慮する際の参考となるように,各実験系が何を可視化するのに適しているかを比較し,それぞれに必要な機材についても触れた.(大場雄介 p.13)

創薬シリーズ(5) トランスレーショナルリサーチ(22)、(23)
変形性膝関節症の画像診断・評価の最前線
変形性関節症の画像診断の最前線について紹介する.X線画像に関しては,従来のカテゴリカル評価の問題点を改善する定量評価ソフトウエアを紹介する.また現存する画像評価モダリティとして最も優れた軟骨描出能をもつMRIに関しては,①軟骨撮像に適したパルスシークエンス,②複雑な曲面構造をとる関節軟骨を3次元的に再構築して軟骨量低下を判定するツール,③軟骨の質的評価について概説する.(岡 敬之 p.18)

変形性関節症の治療標的分子へのアプローチ
メカニカルストレス負荷モデルによるマウスジェネティクスを用いて変形性関節症の分子メカニズムに迫る研究が多くなされており,成長板軟骨に見られる軟骨内骨化過程が永久軟骨であるはずの関節軟骨において誘導されることがその発症に関与していることが示されている.軟骨内骨化シグナル関連分子が変形性関節症の根本的治療の標的分子となることが期待される.(川口 浩 p.22)

新薬紹介総説
新規抗腫瘍薬ベンダムスチンの作用機序と臨床効果
ベンダムスチンはプリンアナログ様骨格にアルキル基が結合したハイブリッドな抗がん薬で,他剤と交差耐性を示さない,単剤で従来の標準併用療法を上回るなどの特性を有する.低悪性度B細胞性リンパ腫,マントル細胞リンパ腫,慢性リンパ性白血病に対して欧米で第1選択の地位を確立しており,さらなる適応拡大が期待されている.(古川雄祐 p.26)

血小板造血刺激因子製剤/トロンボポエチン受容体作動薬ロミプロスチム(ロミプレート®)の薬理学的特徴および臨床効果
ロミプロスチムは,TPO受容体に結合して血小板造血を促進する遺伝子組換えタンパク質である.アミノ酸配列が内因性のTPOとは全く異なるにもかかわらず,受容体への結合や細胞内シグナル伝達はTPOと同様なため,TPOの中和活性を有する抗体を生じることなく特発性(免疫性)血小板減少性紫斑病の治療に貢献することが可能と考えられる.国内外の臨床試験では長期の効果が確認され,脾臓摘出回避の可能性も示唆されている.(古屋良宏 p.34)


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