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日薬理誌第138巻第2号 2011年8月

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アゴラ
ベッドサイドの薬理学を
笹栗俊之 --- 49

総説
胃酸分泌細胞におけるプロトンおよび塩化物イオン分泌の分子メカニズム
藤井拓人、森井孫俊、竹口紀晃、酒井秀紀 --- 51

創薬シリーズ(5)トランスレーショナルリサーチ(24)、(25)、(26)
トランスレーショナルリサーチからみた遺伝子組換え型ヒトトロンボモジュリン製剤(リコモジュリン®)開発
本田剛一,鈴木秀明,青木喜和 --- 56

老化バイオマーカー研究
清水孝彦、白澤卓二 --- 60

自己免疫性肺胞蛋白症に対するGM-CSF吸入治療
田澤立之, 中田 光 --- 64


新薬紹介総説
バゼドキシフェン酢酸塩(ビビアント® 錠20 mg)の薬理学的特徴および臨床試験成績
原田拓真,越智靖夫,越智 宏 --- 68

直接トロンビン阻害薬ダビガトランエテキシラートメタンスルホン酸塩(プラザキサ®) の薬理学的特性および臨床成績
大村剛史,高橋伊久麻,池上幸三郎,Jeffrey Encinas --- 79


キーワード解説
(プロ)レニン受容体とV-ATPase
市原淳弘 --- 90

リレーエッセイ
理想の研究者像
河尾直之 --- 92


新教授紹介

93頁 浅井 聰,石井 優,
     髙橋英夫,高原 章

お知らせ
5A  年1回以上のJPS論文引用を!,
    JPS「オンライン論文投稿・審査システム」変更のお知らせ
6-7A   集会案内
8-9A  Calendar,次号予告,訃報
10A  JPS 116:3 目次
11A  執筆の手引き
12A  英語目次
94頁  安全性情報No.279,No.280
表3  役員一覧

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総説
胃酸分泌細胞におけるH+および塩化物イオン分泌の分子メカニズム
胃酸(HCl)のプロトン(H+)は胃プロトンポンプによって分泌されることはよく知られているが、塩化物イオン(Cl)を分泌する分子に関しては複数の候補が報告されており確定していない.この点に着目した研究から、Cl輸送を担うトランスポーターとして、KCC4とCLC-5の存在が明らかとなった。また胃プロトンポンプがプロトン輸送を行う分子メカニズムも解明されたので概説する。(藤井拓人 p. 51)

創薬シリーズ(5) トランスレーショナルリサーチ(24)、(25)、(25)
遺伝子組換え型ヒトトロンボモジュリン製剤開発
汎発性血管内血液凝固症(DIC)治療薬リコモジュリン®は,新規な抗凝固作用を有する世界初の遺伝子組換え型ヒトトロンボモジュリン製剤である.リコモジュリン®は,三重大学,鹿児島大学と旭化成ファーマ株式会社の共同研究から生み出された産学連携の成功例の1つであり,その開発過程を産(企業)の側から振り返ることで,トランスレーショナルリサーチのあり方について考えてみたい.(本田剛一 p. 56)

老化バイオマーカー研究
老化バイオマーカーは加齢性変化や老化病態を予測できる因子と位置付けられている.ステロイドホルモンのエストロゲンやテストステロン、DHEA-Sに加え、IGF-1やビタミンDなどの成長因子やビタミンも加齢性の変動を示す。高齢社会を迎えた現在において、現在の健康状態や老化病態を客観的に評価する老化バイオマーカーの利用価値は高まっている.(清水孝彦 p. 60)

自己免疫性肺胞蛋白症に対するGM-CSF吸入治療
肺胞蛋白症は,肺胞内にサーファクタント物質が蓄積して呼吸不全を生じる稀少疾患である.近年,GM-CSFに対する自己抗体による肺胞マクロファージの機能不全が病因であり,GM-CSFの吸入により外来治療が可能であることが,本邦の研究者らにより示されてきた.本稿では,本邦での患者数が1,000例程度と推測される本症でのGM-CSF吸入という新規治療開発への取り組みについて紹介する.(田澤立之 p. 64)

新薬紹介総説
骨粗鬆症治療薬バゼドキシフェン酢酸塩(ビビアント®錠20 mg)の薬理学的特徴および臨床試験成績
バゼドキシフェンは選択的エストロゲン受容体モジュレーター(SERM)であり,閉経後骨粗鬆症による骨密度低下を抑制するエストロゲン受容体作動作用を示す一方,子宮や中枢神経系に対してはエストロゲン受容体拮抗作用を示す.また,臨床試験の結果から,バゼドキシフェンの良好な有効性および安全性のプロファイルが確認されたことから,有益なSERM療法の1つとして,閉経後の骨粗鬆症治療に新たな選択肢となりうる.(原田拓真 p. 68)

直接トロンビン阻害薬ダビガトランエテキシラートメタンスルホン酸塩(プラザキサ®)の薬理学的特性および臨床成績
ダビガトランエテキシラート(プラザキサR)は,2011年1月に承認された新規の経口投与可能な非ペプチドの直接トロンビン阻害薬である.ワルファリンと異なり固定の用法・用量で治療が可能であること,臨床上問題となる薬物間相互作用が少ないこと,ビタミンKを含む食事の制限が不要であることなどのメリットが考えられる.本稿では,その薬理学的特徴ならびに臨床試験成績の概要を紹介する.(大村剛史 p. 79)


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