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日薬理誌第139巻第1号 2012年1月

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アゴラ
新しい研究室を開くにあたって
今井由美子--- 3

特集: シグナル分子および細胞保護因子としての硫化水素
序文 木村英雄 --- 5

1:硫化水素:生合成、放出、生理機能
木村英雄 --- 6

2:十二指腸重炭酸イオン分泌における硫化水素の役割
林 周作、竹内孝治 --- 9

3:膵B細胞における硫化水素産生と細胞保護作用
仁木一郎 --- 13

4:慢性腎臓病および糖尿病性腎症における硫化水素の関与
湯沢由紀夫 --- 17

創薬シリーズ6 臨床開発と育薬(6)
日本における国際共同治験の現状
宮田雅代 --- 22

新薬紹介総説
新規アルツハイマー型認知症治療剤リバスチグミンパッチ(リバスタッチ®パッチ/イクセロン®パッチ)の薬理学的特性および臨床試験成績
藤井章史,品川理佳,茶谷祐司,鳥山和宏,白波瀬徹,鈴木和彦 --- 26

超ウラン元素(プルトニウム,アメリシウムおよびキュリウム)体内除去剤,ペンテト酸カルシウム三ナトリウムおよびペンテト酸亜鉛三ナトリウムの薬理学的特性および臨床成績
阿部 務 --- 33

キーワード解説
TRPチャネル
高田宜則,森 泰生 --- 39

RGS
西山眞理子、木村定雄 --- 41

最近の話題
うつ病におけるBDNF 仮説
水井利幸、熊ノ郷晴子、小島正己 --- 43

研究室訪問
東北大学大学院 薬学研究科 薬理学分野
福永浩司 --- 44

日本大学 薬学部 薬理学研究室
石毛久美子 --- 45

学会便り
第125回日本薬理学会関東部会 市民公開講座
「子供の健やか未来を考える-健やかな心とからだ-」を開催して
伊藤芳久 --- 46

リレーエッセイ
刺激的な研究の日々
野村 洋 --- 47

書評
生命をあやつるP450
吉田武美 --- 48

追悼文
1頁  田所作太郎先生のご逝去を悼む  栗原 久

お知らせ
1A  臨時総会報告
1A-6A  定款変更(案)
7A  Calendar  
8A  集会案内、募集
9A  次号予告、安全性情報No.285
10A   JPS117:4目次
20P  執筆の手引き  
表3   役員一覧

部会報告/抄録
44頁/1P 第62回北部会 福永浩司
45頁/11P 第125回関東部会 伊藤芳久

著者プロフィール
16

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特集:シグナル分子および細胞保護因子としての硫化水素
生理活性物質硫化水素の一般的生化学から神経伝達修飾と神経細胞保護、十二指腸の粘膜防御、インスリン分泌調節と膵B細胞の細胞保護、慢性腎臓病および糖尿病性腎症への治療応用に至るまで、幅広く最近の知見をまとめた。(木村英雄 序文 p.5)

硫化水素:生合成、放出、生理機能
生理活性物質としての硫化水素については、日本薬理学雑誌136巻6号335~339頁(2010)を参照いただくとして、ここではH2Sの性質、組織内レベルと3つの生産酵素など、一般的事項について述べる。(木村英雄 p.6)

十二指腸重炭酸イオン分泌における硫化水素の役割
消化管においてH2Sは、非ステロイド性抗炎症薬の副作用である胃傷害の発生を抑制することや、炎症性腸疾患に対して治療効果を示すことなど、保護的に働くことが報告され注目されている。最近、十二指腸においてもアルカリ分泌調節を介して粘膜恒常性の維持に寄与していることが明らかとなっている。(林 周作 p.9)

膵B細胞における硫化水素産生と細胞保護作用
有毒ガスとして知られる硫化水素はインスリン分泌を抑制する。一方で、生理的かつ最も重要なインスリン分泌刺激物質であるグルコースが、膵島における硫化水素の産生酵素の発現を誘導するのはなぜか? この疑問について、自他の報告を交えつつ糖尿病の病態形成における硫化水素産生の意義を考える。(仁木一郎 p.13)

慢性腎臓病および糖尿病性腎症における硫化水素の関与
最近、硫化水素と腎障害との関連が明らかにされつつある。慢性腎臓病あるいは糖尿病病態での硫化水素合成酵素の発現低下により、血管あるいは腎局所での硫化水素濃度の減少により、高血圧・タンパク尿・腎障害の進行が引き起こされる。これらは、硫化水素ドナーにより改善されることから、慢性腎臓病・糖尿病性腎症における新たな腎保護療法の標的として注目されている。(湯沢由紀夫 p.17)

創薬シリーズ 6 臨床開発と育薬 (6)
日本における国際共同治験の現状
近年の日本の新薬開発計画では国際共同治験を取り入れた戦略が増えている。世界同時開発に有効な手段である国際共同治験は今後も増えることが予想される。本稿では、国際共同治験が日本に取り入れられた背景や実施における課題、今後の取り組みなどを紹介する。(宮田雅代 p.22)

新薬紹介総説
新規アルツハイマー型認知症治療剤リバスチグミンパッチ(リバスタッチ®パッチ/イクセロン®パッチ)
リバスチグミンパッチはアルツハイマー型認知症(AD)治療薬では本邦において初めての経皮吸収型製剤である.本剤は「軽度及び中等度のアルツハイマー型認知症における認知症症状の進行抑制」を効能・効果として2011年7月より販売が開始された.本稿では,本剤の薬理学的特性および臨床試験成績を概説し,新たなAD治療薬の選択肢としての可能性について触れる.(藤井章史 p.26)

超ウラン元素体内除去剤,ペンテト酸カルシウム三ナトリウムおよびペンテト酸亜鉛三ナトリウム
ペンテト酸カルシウム三ナトリウム(Ca-DTPA)およびペンテト酸亜鉛三ナトリウム(Zn-DTPA)の超ウラン元素(プルトニウム,アメリシウムおよびキュリウム)体内除去剤としての新薬承認を2011年7月に取得した.これらの薬剤は,超ウラン元素の体外への排泄を促進し,内部被ばくを低減する.放射線事故等の緊急時に,速やかにこれらの薬剤が使用できるような備蓄体制が重要である.(阿部 務 p.33)

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