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日薬理誌第139巻第5号 2012年5月

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アゴラ
国際学会への学生参加の奨め
竹内孝治 --- 191

総説
Toxic advanced glycation end-products: TAGEの多様な疾患への関与
竹内正義 --- 193

アペリン-APJシステムの機能と病態生理
笠井淳司 --- 198

実験技術
免疫不全NOGマウスを用いた「ヒト化マウス」
末水洋志 --- 203 

創薬シリーズ6臨床開発と育薬(10)(11)(12)
ICHガイドライン:指針は指針、目的を理解し、研究に活かそう
田村浩司 --- 207

PMDAの活動と方向性
近藤達也 --- 211

レギュラトリーサイエンス
桐野 豊 --- 215

新薬紹介総説
新規過活動膀胱治療薬ミラベグロン(ベタニス®錠)の薬理学的特性および臨床試験成績
鈴木雅徳,鵜飼政志,笹又理央,関 信男 --- 219

キーワード解説
時計遺伝子と高血圧
土居雅夫,岡村 均 --- 227

最近の話題
H2O2が制御する血管弛緩反応
下川宏明 --- 229

脳における水チャネル、アクアポリンの役割
安井正人 --- 230

リレーエッセイ
科学を感じる
坂本多穂 --- 231

追悼
189頁 平井正直先生を偲んで  熊井俊夫

お知らせ
前綴込  第86回年会案内(第1報)
35-36A  年会優秀発表賞受賞者,審査員
37A  学術奨励賞および助成事業公募
38A  JPS優秀論文賞決定
39A  Calendar、訃報 
40A  集会案内
41-42A  JPS118:4目次
232頁  次号予告,安全性情報No.289
表2対向  執筆の手引き
表3   役員一覧

著者プロフィール
202、206

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総説
Toxic advanced glycation end-productsの多様な疾患への関与
Toxic AGEs(TAGE)がAGEs受容体(RAGE)を介し,糖尿病血管合併症の発症・進展に強く関わっていることが明らかになってきた.最近では,高血圧症,認知症,悪性腫瘍,非アルコール性脂肪性肝炎などの疾患にも関与することが示されており,TAGE-RAGE系の影響を抑えることが多様な疾患の発症・進展の予防および治療戦略上,必要なことがわかってきた.(竹内正義 p.193)

アペリン-APJシステムの機能と病態生理
1998年に脱オーファン化したGタンパク質共役型受容体であるAPJとその内因性リガンドであるアペリンのこれまでの研究について概説する.さらに,血管新生における役割について,既存の血管新生因子とのクロストークや病態モデルを用いた研究を中心に,アペリン-APJシステムが持つ生理・病態機構と有効な創薬標的分子となる可能性を紹介する.(笠井淳司 p.198)

実験技術
免疫不全NOGマウスを用いた「ヒト化マウス」
2000年代前半,NOGマウスをはじめとする新しい重度免疫不全マウスの開発により,ヒトの細胞・組織・臓器を保有するヒト化マウスの開発に大きな進展がみられた.最近ではNOGマウスをさらに改良し,マウスの肝臓をヒトの肝細胞で置換したヒト化肝臓NOGマウスも作製され,肝炎研究や薬物代謝研究に応用されはじめている.(末水洋志 p.203)

創薬シリーズ6 臨床開発と育薬(10)(11)(12)
ICHガイドライン:指針は指針,目的を理解し,研究に活かそう
ICHガイドラインは医療/治験環境の変化,技術革新,倫理面など時代の要請,経験の蓄積等を踏まえて新規作成や改定が行われている.今回は倫理面,治験環境の変化および経験蓄積,技術革新の3つの観点から,3R原則と実験動物の使用抑制(M3),ブリッジング戦略と国際共同治験(E5),ゲノム薬理学およびバイオマーカー(E15,E16)に関して論点を提示する.(田村浩司 p.207)

PMDAの活動と方向性
独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)は「健康被害救済」・「審査」・「安全対策」の3つの業務を行っている.これは,医薬品や医療機器などの開発から使用までの全般に関わるセイフティ・トライアングルという日本独自の重要な仕組みである.本稿では,PMDAの現状や今後の方向性とともに,PMDAが推進するレギュラトリー・サイエンスについて概説する.(近藤達也 p.211)

レギュラトリーサイエンス
1987年に我が国の衛生化学分野で産まれたレギュラトリーサイエンスは,健康に関する公共政策に科学的根拠を与える「規制科学」であり,また,新技術や生物学のもたらす効果と影響を正しく予測・評価して人間と調和するように調整する「評価科学」である.最近ようやくその重要性が広く認識されて,2010年に学会が設立され,さらに,2011年には国の科学技術政策の中で最も基本的で重要な科学と位置付けられた.(桐野 豊 p.215)

新薬紹介総説
新規過活動膀胱治療薬ミラベグロン(ベタニス®錠)の薬理学的特性および臨床試験成績
ミラベグロン(ベタニス®錠)は,膀胱弛緩に関与しているβ3アドレナリン受容体に対する選択的作動薬であり,過活動膀胱の諸症状に対する優れた有効性および安全性が確認されている.本剤は新規作用機序を有することから,過活動膀胱の標準治療薬として使用されているムスカリン受容体拮抗薬による治療に対して満足度が低い患者にも新しい治療選択肢になり得ると考えられる.(鈴木雅徳 p.219)

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