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日薬理誌第140巻第1号 2012年7月

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アゴラ
WorldPharma2018日本開催への想い
渡辺康裕 ---1

受賞講演総説
骨格系細胞群のシグナル応答性解明研究
檜井栄一 ---3

総説
1型アドレノメデュリン受容体複合体のユニークな分子機構と循環制御
桑迫健二,北村和雄,永田さやか,加藤丈司 ---8 

恐怖条件付け記憶の想起,消去に対する扁桃体亜核の役割
天野大樹 ---14 

シナプス入力のリアルタイムイメージング
小林千晃,高橋直矢,池谷裕二 ---19 

創薬シリーズ6臨床開発と育薬(14)(15)(16)
医薬品の添付文書とその情報
浅田和広 ---24

品質保証(信頼性保証)と適合性調査
矢野宜昭 ---28

製造販売業三役体制と製薬企業の危機管理について
神﨑 充 ---32

新薬紹介総説
長時間作用性吸入b2刺激薬,インダカテロールマレイン酸塩(オンブレス®)の薬理学的特性および臨床効果
鈴木和彦,内山正彦,松島総一郎,吉識美香,北脇哲二 ---36

キーワード解説
扁桃体外側核のニューロン集団による恐怖記憶の制御
野村 洋、松木則夫 ---45

最近の話題
高インスリン血症も末梢神経障害に関与する
橋川成美 --- 47

リレーエッセイ
さまざまな「きっかけ」を大切に
早田敦子 --- 48

お知らせ
前綴込  部会案内,払込取扱票,新薬理学セミナー2012
1A  理事長就任のご挨拶  岩尾 洋
2A  第4回理事会報告
3A  Calendar
4-6A  集会案内、募集
7A  次号予告 
8A  JPS119:2目次
表2対向  執筆の手引き
表3  役員一覧

著者プロフィール
7,18

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受賞講演総説
細胞外シグナルに対する骨格系細胞群の応答性
骨格系の機能維持に必須である骨格系細胞群は,主に骨芽細胞,破骨細胞,軟骨細胞である.著者らは,種々の細胞外シグナルに対する骨格系細胞群の応答性を網羅的かつ統合的に解析した結果,①内分泌シグナルによる時計遺伝子を介した軟骨細胞機能調節機構,②酸化ストレスシグナル応答性転写制御因子による骨軟骨細胞機能調節機構,③神経分泌/自己分泌シグナルによる骨軟骨組織の機能調節機構,という新規分子基盤を見出した.(檜井栄一 p.3)

総説
ヒト1型アドレノメデュリン(AM1)受容体の結晶構造
降圧系の1型アドレノメデュリン(AM1)受容体は,Gタンパク質共役型受容体のカルシトニン受容体様受容体と受容体活性調節タンパク質2の二量体である.このユニークな受容体複合体は胎生期の血管・リンパ管形成に不可欠であり,高血圧や動脈硬化,二次性リンパ浮腫の病態改善に寄与する.最近,AMの結合に重要なヒトAM1受容体の結晶構造が明らかになり,今後,循環器疾患を標的にした創薬研究の進展が期待される.(桑迫健二 p.8)

恐怖獲得および恐怖消去学習の神経回路
恐怖の獲得および恐怖消去学習の神経回路を明らかにすることは恐怖関連疾患に対する治療法を開発していくうえで重要である.本稿では主に扁桃体各亜核がそれぞれ恐怖獲得,想起および消去学習にどのように関与するかについてこれまで明らかになってきた知見を述べる.(天野大樹 p.14)

単一シナプスの可視化
ニューロンの情報伝達はシナプスを介して行われる.シナプスを可視化することは,従来,困難とされてきた.しかし,近年,革新的な技術が次々に開発されたことで,単一シナプスを可視化することが可能となり,その機能が徐々に明らかとなってきた.大規模スパインカルシウム画像法は,従来の時空間解像度を有したまま,さらに大規模にシナプス活動を可視化できる手法として,神経研究における重要なツールとなることが期待される.(小林千晃 p.19)

創薬シリーズ6 臨床開発と育薬(14)(15)(16)
医療医薬品の添付文書の位置づけと重要性
医療医薬品の添付文書について,制度(薬事法,PL法,GVP省令等)面からその位置づけと重要性について、次いで添付文書全体の記載要領および使用上の注意の記載要領について,特に適正使用情報の観点から紹介した.最後に現状の添付文書の課題について,薬事法改正,使用上の注意等の記載要領の見直しの状況をふまえ概説した.(浅田和広 p.24)

品質保証の方法
信頼性保証や品質保証というと,誰が保証するか,責任は誰がもつかという話になりがちであるが,その答えは,システム全体で保証するということである.適合性調査についても,最終的には,申請資料の品質保証がなされているか否かの確認である.本稿では品質保証の方法とその理由を解説した.(矢野宜昭 p.28)

製造販売業三役体制と製薬企業の危機管理について
医薬品は品質が確保され,有効性と安全性のバランス情報が付加されて,はじめて医療に役立てられる.製薬企業は,品質や安全管理情報を収集,検討し,その結果に基づき,絶えず品質改善や安全確保のために必要な措置を講じる必要がある.これらの業務を担う責任者として,企業に設置が義務づけられているのが製造販売業三役で,日頃から社内外のネットワークを整備し,有事の際は危機管理リーダーとしての職務遂行が求められる.(神﨑 充 p.32)

新薬紹介総説
新規慢性閉塞性肺疾患(COPD)治療薬 インダカテロール(オンブレス®)の薬理
インダカテロール(オンブレス®)は,慢性閉塞性肺疾患(COPD)の諸症状の緩解を適応として2011年7月に承認された新規の長時間作用性β2刺激薬である.初回投与の吸入後5分で臨床的に有意な気管支拡張効果を示し,その効果は24時間持続することから,即効性と持続性を兼ね備えた初の気管支拡張薬として,COPD治療における新たな選択肢となることが期待されている.(鈴木和彦 p.36)

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