議論・異論・反論

「学会活性化のための改革私案」への意見(投稿者:埼玉医科大学・遠藤 實) 2002年12月6日
 唐木英明先生が本年6月26日、本ホームページに「学会活性化のための改革私案」を投稿され、その中で本学会の平成13年度の管理費6,300万円、その約3/4の4,600万円が人件費、これは一般会員会費3,450万円、学術評議員会費2,600万円と比べて多すぎて問題であると述べられました。その後、10月31日に中木敏夫先生がこの問題は、会計上の勘定科目の問題があるので、その点を考慮に入れて自分で検討して見た結果、管理費に占める人件費の割合は著しく大きいとは言えないと思う、と述べられましたが、それに対して唐木先生は11月8日に再び6月26日と同じ意見を繰り返して述べておられます。

 学会の財政の問題は、私が理事、理事長時代に真剣に取り組んだ問題ですので、その立場からこの点についてコメントさせて頂きます。学会の収支計算書の数字は、勘定科目がそれぞれ具体的にどんなものであるか、実体を理解しないで表面の数字だけを議論すると誤った結論に導かれかねません。中木教授ご指摘の通り平成7~13年度の管理費の人件費には編集部と総務部の人件費の合計が計上されています。しかし、編集部の人件費はJJPと日薬理誌の刊行事業を行うための費用であって、その編集部職員の仕事によって本学会の両誌の印刷製本費が安価になっており、雑誌刊行のための総費用(人件費等編集経費+印刷製本費)はたとえば生化学会の雑誌刊行費用と比べて(もちろん部数割りで)割安になっています。この点は私自身も理事長時代に知らないまま人件費を削減できないかと思って職員と懇談したり精査した結果、初めて理解し、それで会員にも説明できると納得したものです。したがって、管理費の人件費としては、収支計算書の人件費から編集部職員の人件費を差し引いた額として捉えなければいけないことは中木教授のご指摘の通りで、平成14年度の予算書から実際そのような整理の仕方になっています。
 
 唐木教授はまた、学術集会は経済的に「自己完結型」でそのための人件費は表面に出てこない、と言っておられます。「表面に出てこない」の意味が良く分かりませんが、学術集会に関する人件費が学術集会費の「謝金・その他」の科目だけで完結しているという意味であるなら大きな間違いで、参加登録、IDの発行、ラベル作成、会計書類の整理等々多くの仕事が事務局総務部で行われており、その結果、学会長の負担が軽減されています。管理費の人件費にはそのような各学術集会の仕事も含まれているのです。

 唐木先生は「バブル期の賃金設定」を行った責任は自分にもあると述べておられますが、本学会は昭和40年代から「公務員並み」の賃金を設定しており、私は法人化を前に公務員より下方修正して現在の職員給与、退職金規程を制定した当事者です。事務所はもちろん統合すべきですが、その時期は、長年にわたり学会の土台を支えてくれた常勤職員の定年を期に考えるべきと思っていました。その後も職員給与に関しては歴代理事長がそれぞれ努力を重ねて来られたと理解しています。

 他にも言いたいことはいろいろとありますが、取りあえず、経理の重要問題にしぼって記しました。本来は、引退した私のような者が言う前に、歴代の財務担当者など現役で内容の分かっている方が説明して頂きたかったと思っています。

 学会員の皆さんが誤解なさるといけないので敢えて投稿しました。

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