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日本薬理学雑誌: 海外ラボ紹介Nathan Kline Insti

Nathal Kline Institute/
New Yofk University Medical Centerより

140 Old Orangeburg Road Orangeburg, New York 10962

Nathan Kline Instituteの正式名称は,Nathan Kline Institute for Psychiatric ResearchでありState of New YorkのOffice of Mental Healthの一部門になります.私の所属しますDementia Research Groupの他に,Medical Physics (MRl imaging)などのいくつかの部門があります.

Faculty positionはNew York Universityになります.この研究所は,マンハッタンのダウンタウンにあるNew York University MedicalCenterとは異なり,北西へ車で40分ほど離れた,豊かな自然に囲まれた緑深い閑静な場所に立地しています.マンハッタンからの喧噪から逃れると同時に,必要となればマンハッタンにある様々な研究機関との共同研究を容易にしてくれる,絶妙なポイントなのかもしれません.

ニユーヨークといえばご存じのようにマンハッタンに代表されますが,エンパイヤーステイトの愛称で知られるニューョーク州は,北はナイアガラの滝とカナダとの国境まで達する非常に広大な州で,その景観も様々ですが,大半が自然に官む場所です.研究所の周辺もリスやウサギが出現し,秋ともなれば,紅葉が美しく,落ち葉に埋もれます.地図の上で辿りますと,日本では青森と同じ緯度になるようです.日本と同様に四季があり,それぞれの季節で豊かな自然の変化を楽しめます.

私の所属しますDementia Research Groupは3年前にchair manとしてRandy Nixonが着任し新しく出来たグループです.Principle investigatorが,シニア(Randy,Sam Gandy, Karen Duffなど),ジュニア含め約10人,そのほかポスドク,テックが約20人のグループです.

それぞれのグループは,独立したテーマをやっていますが,いくつかのテーマは,協力し合って進めています.風通しもよく,ニューョークらしからぬ「ヒトのよいヒト」が集まっていると言われています.

小規模な研究所のために,共用機器のバリエーションなどに劣る点が少々やりづらいですが,逆にメンバーの研究テーマの方向性はアルツハイマー病などに集約されており,何かわからないことがあると,ビルを一周すると大体の答えは得られると言う利点もあります.私はKaren Duffと一緒に仕事をしています.

アルツハイマー病やパーキンソン病に関する研究を,原因遣伝子のトランスジェニックマウスを用い進めています.具体的には,アミロイド沈着を若齢から示すPS-1とAPP(Hsiao)とのクロスによるPS/APPマウス,genomic Tauトランスジェニック,α-synucleinトランスジェニックマウスを用いています.

トランスジェニック動物の維持,管理というのは,想像を超える膨大な作業なのですが,幸いにも上手く機能しており,比較的自由に実験が出来るという環境にあります.マンハッタンに近いという地の利を生かした共同研究と,都会の喧噪から逃れ自分のペースで仕事を進められる点を生かせる場所で,これからも発展を続ける研究所であると恩います.

松岡康治 (e-mail:myasuji-ind@umin.ac.jp)

筆者は京都薬科大学 大学院 博士課程 
(谷口隆之 教授)の修了者です

http://www.rfmh.org/nki/  (写真はHPより)

 

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