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日本薬理学雑誌: UCSD

University of California, San Diego,
Department of Pharmacology

San Diego, La Jolla, California 92093, USA

昨年の6月から橋本敬太郎先生が教授を勤められている山梨医科大学薬理学教室からカリフォルニア大学サンディエゴ校(UCSD)に留学しております。

サンディエゴはカリフォルニア州の南の端、メキシコ国境沿いに位置する都市です。サンディエゴ、その名前を聞いて「メキシコのどこか?」とお思いになる方も、きっと私以外にもいらっしゃるのではないでしょうか?実際、スペイン語は「英語が駄目ならスペイン語?」と押し売り電話で言われるほど一般的です。

サンディエゴのアメリカ人の多くも簡単なスペイン語は話せるようです。また、気候は非常に温暖で、ありとあらゆるスポーツ・サーフィン、ゴルフ、テニス、クライミングなどが楽しめますし、また、意外なことにスキーも楽しめるようです。車を運転していると気球が浮いているのを見かけます。私もテニスをしたり、大学院生とクライミングに行ったりと楽しい時間を過ごしております。治安も思っていたよりも格段に良く、特に大学のあるLa Jolla地域は夜の散歩も平気なくらいです。軍港があるように軍隊の影響が大きいとの意見もあるようです。


さて、私はSchool of Medicine, Department of PharmacologyのDr. Joan Heller Brownラボに所属しております。ボス以外にはポスドクが私を含めて6人、大学院生が4人という構成です。メンバーの誕生日にはバースデーランチ、誰かが論文を発表したり学会が終わったりするとBeerランチ、気の乗らない金曜日の夕方にはハッピーアワーで学内のパブに行く、といった具合に大変アットホームな雰囲気です。薬理デパートメント全体でソフトボールチームを作って学内の大会に出場したりと、デパートメント内での連携(?)もなめらかです。実際、研究面においても共同研究が気軽に頻繁に行われ、薬理に限らずDivision of Cardiology、Department of Biology、UCSDを離れてScripps等の研究施設、全米に散らばる良き共同研究者達、と幅広く気軽に共同研究が行われています。


卑近な例ではDr. Brownとディスカッションをしていると、その場で電話やe-mailをして下さり非常に研究の進み方が早く能率的であるのに驚きます。あまりの迅速な対応にこちらが目を白黒させることもしばしばで、「シゲキ、OKみたいだから明後日に実験の準備して○×departmentに行ってきてね」といった具合です。感銘を受けた別の事としては、ディスカッションが非常に深く、曖昧さを残らず排除し明快になるまで詰める、その執念と集中力があります。しかしその場では、感銘というより消耗のほうが先に立つのが実際です。


私自身は、neonatal rat ventricle myocyte へのアデノウイルスによるGq蛋白質αサブユニットの発現系を用い、心肥大から心不全への移行に関与するとされている心筋アポトーシスの機序解明をテーマとしております。特にミトコンドリアの破綻に焦点を当て共焦点レーザー顕微鏡を用いて研究を進めております。関連するテーマとしてPIP3-Aktなどの生存シグナルについての研究も進められており、アポトーシスと生存シグナルのバランスという視点で大きく捉えているようです。

他には、Rhoシグナルの心血管系での役割やastroglial cells での役割、 Ca2+/calmodulin-dependent protein kinase IIトランスジェニック動物の解析やsphingosine 1-phosphateノックアウト動物を用いてのsphingosine 1-phosphateの心血管系の役割の解明、といった研究が行われております(HP:http://medicine.ucsd.edu/pharmaco/jhbrown.html をご参照下さい。薬理デパートメントはhttp://medicine.ucsd.edu/pharmaco)。

他には、Rhoシグナルの心血管系での役割やastroglial cells での役割、 Ca2+/calmodulin-dependent protein kinase IIトランスジェニック動物の解析やsphingosine 1-phosphateノックアウト動物を用いてのsphingosine 1-phosphateの心血管系の役割の解明、といった研究が行われております

(HP:http://medicine.ucsd.edu/pharmaco/jhbrown.html をご参照下さい。

薬理デパートメントはhttp://medicine.ucsd.edu/pharmaco)。

In vivoでの生理パラメーターの測定や病態モデル実験から、ウエスタンやノーザン、免疫染色、DNAマイクロアレー、サブクローニング-アデノウイルスを用いてのin vitroの実験まで、解明すべき問題へのアプローチは非常に多面的であり、勉強すべきことが山積している状態です。


実験から文化にいたるまで多くのことを学びたいと思っております。ピザもカリフォルニア巻きも美味しいですし、なによりチェーン店ではないお店で食べるハンバーガーが、あんなに美味しいシロモノだとは知りませんでした。もちろん食文化に限らず、欧米文明とアメリカ文化を混同せずに感受性高く楽しみたいと思っております。

                                    宮本 重規

 


ラボにて: 最前列中央が私、その真上がDr. Brown。わざわざ、薬理学会HP用
にスナップを撮ってくれました。

 

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