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日本薬理学雑誌: 海外ラボ紹介 119-4-266

Department of Physiology & Cell Biology,
University of Nevada School of Medicine

Anderson Medical Building MS352, Reno, NV?89557-0046, USA     

アメリカ合衆国ネバダ州リノはカリフォルニア州北部に隣接する砂漠に囲まれた小都市で,ラスベガスと同様にカジノで有名な観光地です.郊外には天然温泉があり,日本のような風情はないものの星空を見ながら露天風呂が楽しめます.また,ベイエリアのサンフランシスコ,カリフォルニアワインで有名なナパバレー,ヨセミテ国定公園へのアクセスが非常に便利な拠点です.

University of Nevada Reno(UNR)はリノの北部に位置し,中でも私の勤務する医学部は最北端に位置しています.Department of Physiology & Cell Biology はKenton M. Sanders 主任教授を中心とする消化管平滑筋研究グループで8人の教授と5人の助教授からなる大講座です.

私の赴任したBurton Horowitz 教授の研究テーマは「分子生物学的アプローチに基づいた平滑筋,心筋におけるイオンチャネルの機能解析」(詳細は下記のホームページを参照)であり,15名を越すメンバーが各自のテーマに意欲的に取り組んでいます.また,Horowitz 教授はSanders 主任教授をはじめKeef 教授,Pharmacology のHume 主任教授や国内外の平滑筋研究者と多岐にわたる共同研究を展開されています.

毎週月曜日の文献紹介(ジャーナルクラブ)や学外研究者による講演会では講堂にPhysiology とPharmacologyの両講座から数十人が集まり,熱心な議論が行われます.Horowitz 研究室の正式なラボミーティングは年に2回程度ですが,Horowitz 教授が「酒好き」ということもあり,週末にはパブがミーティングの場所になります.

講座内の企画も多く,夏にはLake Tahoe でバーベキュー,冬にはラボスキー(写真)やクリスマス会が開催されます.日本人研究者は両講座あわせて現在5名在籍しています(九州大:柳田展江博士,早稲田大:堀口和秀博士,福井医大:飯野哲博士,佐賀医大:水間信太郎博士).私の現在の研究テーマは「平滑筋に発現するカルモジュリン(CaM)スーパーファミリーの同定とイオンチャネル機能制御」です.

最近注目されているCaM スーパーファミリーのneuronal Ca2+-binding proteins(NCBPs)やCaM-like Ca2+-binding proteins(CaBPs)の平滑筋における発現分布やイオンチャネルとの相互作用を検討しております.CaM は筋収縮調節機構の制御因子として重要であるだけでなく,多くのイオンチャネル活性制御に重要な役割を果たしています.

しかしながら,現在のところNCBPs やCaBPs の機能的役割,特にイオンチャネル制御に関する報告は少ないのが現状です.リノはカリフォルニア州に隣接するため,ディズニーランドやユニバーサルスタジオだけでなく,夏には野生海獣の観察やシュノーケリングも楽しむこともできます.

また,グランドキャニオン,アーチーズ,イエローストーン国定公園といった有名国定公園へのアクセスも可能です.冬には週末になるとLake Tahoe 周辺のスキーリゾートに出かけスキーやそり遊びすることができます.先日,幸いにもソルトレークシティーで開催された冬季オリンピックの聖火リレーを間近に見ることができました.

最後になりましたが,本海外出張においてお世話になりました名古屋市立大学大学院薬学研究科今泉祐治教授に深謝いたします.また,海外留学補助金の交付を受けました財団法人臨床薬理研究振興財団に感謝いたします.

大矢 進

ラボスキーでの集合写真(2001年12月13日,Lake Tahoe にて)写真中央が本人,右がHorowitz 教授.背景に見えるのがLake Tahoe.

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