議論・異論・反論
薬理学会のこれからのスタンスは? (投稿者:薬理学リバイバル信奉者) 2001年3月26日投稿 |
「座長とはかくあるべし」(2001年2月16日投稿)において薬理道氏が、薬理学会が「面白くない学会」になりつつあると指摘しているが、(少なくとも他の学会との相対比較において)そのようになっているというのは、残念ながら大方の一致する印象であろう。 学会に参加する意図は、個々の演題からの最新研究動向のフォローとディスカッションもさることながら、やはり「トピックスに触れること」が大きいように思う。学会の活性化のためには1にも2にも、魅力ある話題・テーマを常に発信・提供し続けること、薬理学会であればこれからの「薬理学」をリードする話題提供や研究の方向性を提示し続けることであると言えよう。 さて、昨今のバイオ・ゲノムのトレンドの中で、薬理学および薬理学会のスタンスはどうなっていくのであろうか。「薬理学」の定義も科学や技術の進歩とともに変化するのは当然であり、また変化(進化)し続けられなければその存在価値を失う。 例えば、99年春の年会で東大医科研の中村祐輔先生が「ヒトゲノム計画と21世紀の医療」と題する特別講演をされて以降、薬理学会でも「ゲノム薬理(学)」がかなり取り上げられるようになってきた。これは薬理学および薬理学会の進化の一つであろう。これからは学問的進化とともに、臨床応用、すなわち創薬・治療へ結びつくような展開を提示していくことで、今後の薬理学の意義を大いに示すことができるはずである。 日本薬理学雑誌117巻3号(2001年3月)掲載の第103回関東部会報告において、遠藤仁先生が「製薬企業の研究者からのリクエストを入れて、3人の著名な臨床医をお招きして薬物ニーズの講演をしていただいた」とお書きになっているが、特に企業研究者は現在の学会というものに対してまさにこのようなニーズを持っている。基礎系の研究と臨床系の研究が互いに刺激しあう場の提供が学会の活性化をもたらし、これにより「内輪の研究者だけの親睦会」という揶揄からの脱却に結びつくことになるはずである。参加者のニーズを常に把握し、運営に活かしていく努力をより一層求めたい。 大学教育の場でもようやく臨床教育の重要性が認識され、薬学教育に組み込まれていると聞く。これは大変重要であり、必要なことである。薬理学会も今まで以上に臨床を見据え、臨床系の学会等との連携を進めていって欲しいものである。第104回関東部会は、山之内製薬(本田一男先生)が主宰される。企業による主宰でどのような新機軸が打ち出されるか、注目したい。(了
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