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近畿部会市民公開講座
『あなたの心,からだは大丈夫ですか?』

大阪薬大・薬理 玄番宗一(広報委員会委員)

近畿部会における市民公開講座が,11月7日(金)に,大阪ガーデンパレスにて,第104回日本薬理学会近畿部会会長・近畿大学薬学部秦多惠子教授の企画により開催されました.市民公開講座への取り組みは,今期広報委員会(委員長:工藤佳久教授)における重点項目の一つです.開催日時と会場は,第104回日本薬理学会近畿部会に合わせて頂きました.秦多惠子先生には,企画の当初から実施に至るまで,すべてについてご負担をおかけしました.今回を含めて5回にわたって本市民公開講座が近畿部会と同時開催されてきたのですが,当の部会長にとっては,市民公開講座の会場を含めて4会場を準備しなければなりませんので,一層のご負担をかけることになったようです.市民の方々には,市民公開講座会場のとなりで薬理学会が開催されていることもあり,本講座が日本薬理学会の認知度の増大に貢献をしたことと思います.

参加者としては,市民218名に加えて,薬理学会近畿部会関係者も少なからず加わられ,会場はほぼ満席でした.これ程多くの参加者を迎えることは,決して容易なことではありません.秦先生による市民公開講座広報活動への工夫とご努力の賜物です.

参加者にとって演者と講演内容が最大の関心事であることは言うまでもありません.広報委員の佐藤公道教授から,最初に『日本薬理学会の紹介と市民への啓蒙活動を続けることも日本薬理学会の使命』との挨拶がありました.主テーマ『あなたの心,からだは大丈夫ですか?』のもとに,司会者として関西医科大学・稲垣千代子教授が予定されていましたが急な事情によって,秦先生の司会により近畿大学医学部教授・近畿大学奈良病院院長中島重徳先生が『あなたは「健康という病」ではありませんか?』と題して,薬理学会主催ということで薬の使い方をユーモアを交えて,たいへん分かりやすく解説されました.健康に対する多くの誤解と正しい知識の欠如を指摘され,元気で長生き10カ条を説かれました.私たちが『健康のために生きる』のではなく『よく生きるために健康である』ことの大切さを訴えられました.

次に滋賀医科大学・大川まさ子教授が,大阪大学・馬場明道教授による司会のもとに,『あなたの睡眠は大丈夫ですか?』について,睡眠障害の実態と対処のしかたについて話されました.我が国では,現在5人に1人が睡眠不足であり,その理由として仕事や勉強などによる精神的ストレスが挙げられるとのことでした.高齢化社会において,年をとるとともに不眠になりやすいことも睡眠障害に関わっているようです.睡眠薬の使い方,特に睡眠薬について患者からよくある質問,についてのわかりやすい解説に参加者は熱心に耳を傾けておられました.

秦教授が実施された参加者(約90% が40歳以上)へのアンケート結果から,『薬理学会』や『薬理学』という言葉をこれまでに聞いたことがない(わからないを含めて)と答えられた人は12% でした.参加されなかった市民を加えて,充分広範囲に『日本薬理学会』の名を広報して頂けたようです.日本薬理学会主催による市民公開講座が,近畿部会では,第96回谷口隆之会長,第98回永井博弌会長,第100回岩尾洋会長,第102回亀井千晃会長に続いて,今回で5年度目であり,近畿部会では5カ年連続開催となりました.アンケート結果から,ほとんど全員の参加者が,講演内容について『ためになった,おもしろかった,わかりやすかった』と回答され,『また参加したい』と期待されておられることなどから,今後も『日本薬理学会』を理解して頂くために,本会主催の市民公開講座が地域に根付くことを祈念します.

写真1 ほぼ満席の参加者に,開催の挨拶を述べる京都大学・佐藤公道教授
写真1 ほぼ満席の参加者に,開催の挨拶を述べる京都大学・佐藤公道教授
写真2 演者中島重徳・近畿大学教授/奈良病院院長の講演に聴き入る参加者と司会者秦多惠子・近畿大学教授(右端).
写真2 演者中島重徳・近畿大学教授/奈良病院院長の講演に聴き入る参加者と司会者秦多惠子・近畿大学教授(右端).

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