学会員の論文紹介

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Distinct modulation of evoked and spontaneous EPSCs by purinoceptors in the nucleus tractus solitarii
Kato, F. & Shigetomi, E.
Department of Pharmacology, Neurophysiology Group, Jikei University School of Medicine
Journal of Physiology (London) 530, 469-486 (2001)

自律機能制御系における内臓情報の受容・統合ネットワークである延髄孤束核には、細胞外ATPを内因性リガンドとするP2X受容体チャネルが豊富に発現している。孤束核ネットワークの情報処理におけるその役割を解明するため、脳幹スライスから興奮性シナプス後電流を記録した。

ATPは、(1)細胞外でアデノシンまで変換されたのち、シナプス前A1受容体に作用して孤束一次求心線維からの誘発グルタミン酸放出を抑制する、と同時に、

(2)シナプス前P2X受容体に作用して内在性孤束核ニューロンからのグルタミン酸放出を促進する、という相反的制御を行なうことが証明された。

この事実は、細胞外ATPが、ATPとアデノシンという二つの伝達物質としてシナプス伝達を差異的に制御すること、および、脳内のnativeなシナプスにおいて、シナプス前のATP受容体の活性化が直接的グルタミン酸放出を引き起こすことを明示している。

加藤 總夫 (fusao@jikei.ac.jp)  http://www.jikei.ac.jp/respiration.1/index.htm

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