学会員の論文紹介

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A protective role of protease-activated receptor 1 in rat gastric mucosa.
Kawabata A, Nishikawa H, Saitoh H, Nakaya Y, Hiramatsu K, Kubo S, Nishida M, Kawao N, Kuroda R, Sekiguchi F, Kinoshita M, Kakehi K, Arizono N, Yamagishi H, Kawai K.
Faculty of Pharmaceutical Sciences, Kinki University, Higashi-Osaka, Japan
Gastroenterology. 2004 Jan;126(1):208-19.

我々はトリプシン、トリプターゼなどで活性化されるPAR-2が胃粘膜のカプサイシン感受性知覚神経に存在し、胃粘膜に対して保護的に機能していることをすでに報告している(Kawabata et al., J. Clin. Invest. 107: 1443-1450, 2001)。今回はトロンビン受容体の1つであるPAR-1の胃粘膜における機能を調べた。

その結果、PAR-1アゴニストがラットの実験的胃粘膜障害モデルにおいて粘膜保護作用を示すほか、胃粘膜血流増加作用、酸分泌抑制作用などを有することが明らかとなった。しかし、PAR-1アゴニストのこれらの作用は、感覚神経非依存性であり、主にCOX-1依存性の内因性プロスタグランジン産生亢進を介して発現することが判明した。また、ラットおよびヒトの胃の免疫染色により、PAR-1は粘膜筋板、平滑筋などにCOX-1とともに高発現していることが見出された。

このように、PAR-1はPAR-2同様、胃粘膜において保護的役割を演じているが、両受容体を介する保護作用に関与するメカニズムは大きくことなることが明らかとなった。

Corresponding author:川畑 篤史  kawabata@phar.kindai.ac.jp

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