学会員の論文紹介
雑誌名をクリックするとPubMedのabstractページにリンクします。
Sphingosine
1-phosphate induces sinus tachycardia and coronary vasoconstriction
in the canine isolated, blood-perfused heart preparations. |
Sugiyama
A, Yatomi Y, Ozaki Y, Hashimoto K. |
Department
of Pharmacology, Yamanashi medical University, Tamaho-cho, Nakakoma-gun,
Yamanashi 409-3898, Japan |
Sphingosine1-phosphate(Sph 1-P)は細胞膜スフィンゴ脂質の代謝回転で産生される生理活 性物質である。特に血小板内に大量に存在し、血小板凝集時における細胞間メッセン ジャーとして注目されている。 今回の研究ではSph 1-Pの心臓におよぼす作用をイヌ 血液灌流摘出心筋標本を用いて検討した。Sph 1-Pの投与により、心房拍動数は用量 依存的に増加し、冠血流量と心筋収縮力は減少した。β遮断薬atenololおよびα遮断 薬prazosinの前処置は、Sph 1-Pの作用に影響を与えなかった。また、Sph 1-Pは洞房 結節領域および左室筋におけるadenylate cyclase活性に有意な影響をおよぼさなか った。 今回の研究により、Sph 1-Pはα・β受容体以外の細胞内情報伝達機構を介す る陽性変時・陰性変力・冠血流減少作用を有することが初めて証明され、急性冠症候 群を含む種々の凝固疾患における心臓の変化に関与していることが示唆された。 |