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Inhibitory effect of amiodarone on Na/Ca exchange current in guinea-pig cardiac myocytes
Yasuhide Watanabe and *Junko Kimura
Department of Ecology and Clinical Therapeutics, School of Nursing, *Department of Pharmacology, School of Medicine, Fukushima Medical University, 1 Hikariga-oka, Fukushima 960-1295, Japan

アミオダロンはVaughan Williamsの抗不整脈薬分類ではIII群抗不整脈薬に分類されているが、その他にNaチャネル抑制、交感神経抑制、Caチャネル抑制作用を有し、いわゆるI、II、IV群抗不整脈薬の特性も併せ持つ薬物である。また、臨床的には心室性不整脈などの致死的不整脈に用いられている。

しかし、今までに、アミオダロンには数多くのイオンチャネルに対する報告があるが、Na/Ca 交換電流に対する作用はまだ明らかでない。心筋のNa/Ca 交換は細胞内Ca 濃度を調節する主な機構の一つである。本研究では、ホールセルクランプ法を使ってモルモットの単一心室筋細胞のNa/Ca 交換電流に対するアミオダロンの急性投与の効果を調べた。

細胞外液は140 mM Na, 2 mM Ca, 細胞内液に20 mM Na,遊離Ca 398 nM (BAPTA 30 mM, CaCl2 19 mM)で保持電位-60 mVから10秒ごとにランプ派をかけて電流電圧曲線を得た。100 μM KBR-7943感受性電流をNa/Ca交換電流とした。細胞外液に加えたアミオダロンは1~30μMの範囲で濃度依存性にNa/Ca 交換電流を抑制した。

30 μMではほぼ完全に(~90 %)抑制した。+50 mVの電流値から求めたIC50値は3.3 μM、Hill係数は1であった。トリプシンをピペット内に入れるとNa/Ca 交換電流の抑制が有意に小さくなった。

このことから、アミオダロンは細胞内側からNa/Ca 交換体に作用して抑制することが示唆された。

Na/Ca 交換電流抑制作用はアミオダロンの臨床的濃度範囲で見られることから、心筋保護作用に関与している可能性がある。

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