日本薬理学会について

理事長挨拶(2004年4月)


社団法人 日本薬理学会理事長
大阪大学 教授

馬場 明道

この度、第7期の日本薬理学会理事長に選出されました馬場です。

  学会の理事長たるもの学術面はもとよりあらゆる意味において学会を代表する立場であり、私自身、 到底、適任であるとは申せませんが、選出されました以上、その職責は充分に自覚しております。誠心誠意を尽くし学会のため、会員のために努力をする所存であります。

 4月17日の理事会において今期理事会の新たな体制が発足しました。常置委員会委員長として、総務は三品昌美先生(東大医)、財務は長尾 拓先生(国立医薬品食品衛生研)、編集は鍋島俊隆先生(名古屋大医)、研究推進は野村靖幸先生(北海道大薬)、広報は遠藤政夫先生(山形大医)、そして企画教育を谷山紘太郎先生(長崎大医)にお願いしました。また、前期理事会において初めて設置された特別委員会の年会学術企画委員会はその目的の継続のために、松木則夫先生(東大薬)を委員長として今期も引き続き設置することとしました。更に、前2期から実施しております、理事会選出理事として企業などからの理事の補充につきまして、今期もその方針を継続することとし、総会に諮ることとしました。このように今期の理事会、常置委員会などの新しいラインアップが決まり、事務局(総務部)と編集部の職員も含め、一丸となって努力いたしますので、会員の方々には熱いご支援、ご協力のほどをまずお願いいたします。

 ポストゲノムの時代に突入した現在、薬理学がどのようにその存在意義を高めていくかについては本誌のアゴラをはじめとする随所において、既に多くの先生方により種々の観点、方策が指摘されており、会員の皆様もそれらの意見も踏まえつつ、各々の立場から薬理学研究のより大きな発展を目指し、日々研鑽を積んでおられることと思います。 よく指摘されておりますが、分子生物学やいわゆる生化学が分子の物質的側面と分子としての機能解明を目指すのに対し、薬理学はそれらを基本に、更に生体の仕組みの階層レベルに対応した機能を解析し、その統合的機能を知ることを目指し、その手法と論理を体系化したものと云うことが出来ると思います。ポストゲノム時代の生命科学がその機能の解明、統合、更には、種の機能の多様性の共通理解に進みつつある現在、薬理学の学問としての特性は、まさに、その主流を担えるものと云えると思います。従って、基礎医学を含めた多くの生命科学が、「疾患と創薬」を視野に入れつつあると云える現在、薬理学はその主流として今後も発展していく必要があります。

 もとより、研究は研究者個人、あるいはグループの独創性、努力によることは疑いのないことであり、学会はそれらの研究者の活動を組織的に支援し、その研究の発展のためのよりよい環境を整備し、その学問体系を発展させていく役割を持つものだと信じています。その視点から、今期の理事会も薬理学会の会員の皆様の研究を支援する環境を整備していくことを目指していく所存です。

 初代理事長の遠藤 實先生から安孫子 保先生、眞崎知生先生、宮本英七先生までの4代の理事長の時代に社団法人としての薬理学会の体制が整備されました。それらの体制をもとに、5代の佐藤理事長が手がけられた企業研究者の学会への積極的参画の制度導入をはじめとする学会の活性化の試み、6代の橋本理事長が手がけられた事務局体制の検討を含めた将来展望、あるいは年会の学術企画のあり方の検討など、薬理学会はしっかりとした基盤のもとにより着実な発展を目指しているように思います。現在、多くの学会がその会員数で見る限りむしろ低迷しつつあると云えます。学会の評価は会員数のみではかれるものではないにしろ、その流れは断ち切る必要があります。今期の理事会は、前2期の理事会が手がけてこられた諸々の活動を継続し発展させる中で、会員を拡充することを重点に取り組んでまいります。会員の皆様のご支援とご協力を重ねてお願いいたします。

馬場 明道

このページの先頭へ