お知らせ

2002年11月13日掲載
英文誌に投稿の皆様へ

 会員の皆様には、御健勝にお過ごしのことと存じます。
 さて、日薬理誌(120巻 4号 45A、10月発行)でご報告しましたように、今般、The Japanese Journal of Pharmacology は 2003年 1月号より Journal of Pharmacological Sciences (略:J Pharmacol Sci) への誌名変更が決定しました。この誌名変更により、日本薬理学会の英文誌がより一層国際的な雑誌になることを切望し、これから誌名変更を広く各方面にお知らせし、一日も早くこの誌名が国際的に認知されますように、編集委員および職員一同努力して参ります。

 日薬理誌(120巻 2号 14A、8月発行)に, 元編集委員長の某先生が「誌名変更で数カ月以内に外国から投稿が目に見えて増加するとも思いませんが、----、増加させる方策としては有効だろうと思います」と述べておられます。当方も、このご意見は当然のことと理解しておりますし、まず何はともあれ、国内研究者からの論文投稿の増加を心から期待しています。

 誌名変更の検討と同時に、投稿された論文の査読方法も従来の方法から大きく変更しました。諸先生方もご承知のように、最近の海外の諸学術誌は査読者の指名制を取りいれており、指名が無い場合は編集部から催促されます。また審査を希望しない研究者の名前を書くことも可能です。この制度が定着しつつあるのは、投稿論文に対する適切な査読者の選定時間を短縮できること、また最新の知見を得られ、論文を作成された投稿者に敬意を表して、投稿者による査読者の指名を優先することなどにあると思います。

 従来、Jpn J Pharmacolに投稿された原稿は、国内の学会員または関連分野の専門家により査読されてきました。ごく最近の投稿論文は、国内の査読者とともに国外の査読者にも論文の査読をお願いしております。当方もセクション・エディターを担当していますので、すでに6報の論文審査に関与しております。投稿論文に査読者の指定がなされていない場合は、電話などで投稿者に国内、国外の適切な査読者の指定をお願いしております。海外の査読者の氏名が判り次第、査読者の専門分野などをメドラインなどで軽く検索後、ただちにe-mail で審査の可否を問い合わせております。査読者が学会などへの参加により不在の時以外、ほとんどの方から査読了承のお返事を頂き、ただちに論文一部を国際宅急便でお送りしております。審査期間はFullPaperの場合2週間とさせていただいております。現在までの経験では、国内の査読者からのお返事よりも前に、海外からの審査の結果の報告を頂く時もあります。査読者指名により、審査が甘く、ルーズになるのではという危惧の念もありましたが、これは杞憂にすぎず、ある例では残念ながら、指名者からrejectの判定も頂いております。

 さて、現在Jpn J Pharmacolに投稿される方に、英文に関して以下のような注意を喚起しております。すなわち、英文は全てスタンダード英語を使用すると投稿規定にあります。特に若い方がはじめて書かれた英文論文で、内容においては本誌での掲載は十分可能でありながら、英文が十分に理解されない場合があるようです。これは、投稿者にとっては極めて不利な結果を生み、また査読者も原稿の読破にかなり無駄な時間を費やします。ごく最近、海外の査読者からコメントはe-mailで頂きましたが、一方原稿は航空便で返送され、英文が徹底的に修正された例がありました。多忙な海外の査読者に英文校正を依頼する積もりはなく、また査読者も驚いたことと思います。

 今後、海外の査読者に見て頂く機会が多くなると思います。論文投稿者の希望があれば、審査員は2人とも海外の査読者になる可能性もあります。英文論文は是非、native speakerに英文校閲を受けた後、御投稿ください。英米の親しい友人にチェックしてもらうか、あるいは英文校閲をビジネスとする所に依頼されてはいかがでしょうか。短期間(普通1週間くらい)で校正してくれ、英文にもよりますが、費用も1.5~2万円、高くても3~4万円程度のようです。せめて、冠詞や単複、時制程度はスタンダード英文にしたうえで、国内、国外の査読者に内容で審査して頂きたいと考えております。急がば回れですね。英文校正を編集者や、査読者に依頼したつもりにならないでください。あるいは、学会の英文校閲者を当てにされないでください。学会の英文校閲者は、あくまで審査終了後に、本雑誌に適切な英文に統一して頂く程度-とご理解ください。

 なお、この新しい査読者制度の導入により、海外の査読者は当然の事ながら、国内の査読者によるコメントも全て簡潔な英文でお願いしております。したがって、著者からの回答もすべて英文でお願いします。

 当方が米国に留学していた時、ボスが論文を書いた後、秘書が研究生を相手に、引用論文の氏名、論文主題、雑誌名を一字一字声を上げて、確認していたことを思いだします。最近のソフトには英文校正機能があり、スペルチェックは簡単にできます。投稿される前に是非この機能の活用をお忘れなくお願いします。

 また海外の査読者に論文を見てもらうわけなので、普段から海外の学者との交流、または文献などでも適切な学者をいつも脳裏に浮かべながら、論文をまとめられることをお薦めします。

 もし、英文校閲者が必要な場合は、編集部に連絡して頂ければ紹介します。もちろん経費は各自自己負担でお願いします。

 また、日薬理誌への依頼原稿、総説、実験技術なども投稿時に、査読者を指名されると、審査は極めて早急に適切に実施されますので、是非査読者を指名してください。これまた極めて適切な査読がなされています。紳士協定(学者協定?)という言葉がありますが、指名されたからとて、研究論文に対してはルーズなコメントはまずありません。逆に行間に懇切丁寧で、敬意に溢れる印象を受ける時があります。

 以上ですが、新誌名の雑誌J Pharmacol Sciへの奮っての御投稿を編集関係者一同、心からお待ちしております。

2002年11月1日
編集委員長 岡部 進

追記:以下のようなお手紙を、海外(ヨーロッパ)エディターから頂きましたので、ご報告します。

Dear Prof. Okabe,

Thanks for your message. I believe you made an excellent choice in renaming JJP into Journal of Pharmacological Sciences. Congratula-
tions! This change will give the Journal an international flavour
and hopefully attract more papers from outside Japan.

Best wishes

Ezio Giacobini

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